企業

ゼロイチでものを作り上げるため、一緒に殻を破れる博士人材と働きたい。

Beyond Next Ventures株式会社

執行役員 バイオテック領域キャピタリスト 吉川 真由 氏

博士(生命科学)

Beyond Next Ventures株式会社は、大学や企業に眠る革新的な技術の種(シーズ)を見出し、研究者や起業家と共に社会実装に挑むベンチャーキャピタル(以下VC)です。サイエンス・テクノロジーを基盤とした新産業の創出とチャレンジする人材の輩出により社会に貢献することをミッションとしています。スタートアップへの出資に留まらず、創業前の段階から技術シーズの事業化を支援するアクセラレーションプログラムの運営、起業や経営志向をもつビジネスパーソンのキャリア支援、バイオベンチャー向けのシェアラボの開設など、VCという概念を超えた様々な活動を通じて、科学技術系スタートアップを取り巻くエコシステムの構築に取り組んでいます。

技術シーズを発掘し、新しい価値を創出する

当社は、ディープテックにこだわり、日本国内の大学発ベンチャーの創業支援、出資事業を展開しています。私自身、バイオ系スタートアップへの投資をするなかで、社会課題を解決できるサイエンス・テクノロジーの進化と、その加速を日々体感しています。投資を考えるためには、大学で研究されている新しい技術を、いち早くキャッチアップするのはもちろん、事業化できるかの判断が重要になります。そのため、社会課題に対する意識を持ち、解決のために既存の技術では何が困難か、どんな新しい技術でアプローチをすれば殻を破れるのか。それを一緒に考えられる人材を求めています。サイエンスへの深い理解と強い興味を持つ博士人材なら、当社でご活躍いただけると思います。

博士課程の迷いや悩みは、環境を変えることで乗り越えた

博士のキャリアに悩みや不安をお持ちの方は多いのではないでしょうか。実際、私も博士課程への進学に迷い、最後まで続けるかも悩みました。同年代の仲間と比べると、経済的に余裕がない上、研究に没頭する自分の視野の狭さに不安が募っていたのです。そこで、環境を変えるため、思い切って海外の研究室へ行ったことが転機となりました。そこで、どんなに素晴らしい技術であっても、事業化するには経済と政治の理解が必要だと痛感し、自分自身の多様性を磨くために、外資コンサルティング会社への就職を決断しました。そこで事業会社の視点を学び、今に至ります。博士課程のみなさんも、研究室に閉じこもらず、刺激を受けられる環境に身を置く回り道をしてみるのは、キャリアを考えるひとつの手段になると思います。

ベンチャーキャピタル(VC)は博士課程での学びやスキルが活かせるフィールド

研究職からVC業界にキャリアチェンジした私のような人材はまだレアなので、顔を覚えてもらえるのはメリットです。また博士課程の実験・研究のプロセスで、気づかないうちに得られていた能力や知識、築いたネットワークが、現在の武器になっています。論文やデータの読み方を理解し、専門用語で会話ができ、議論の場でもロジカルに考えてポイントをつかめます。ただ、博士号を持っているからと言って、あらゆる研究分野や実験が理解できるというわけではないですよね。あくまで、特定の専門分野の研究に特化している、とうことなので、その後も引き続き専門性を深め、広げていく努力が必要だと思います。博士号はあくまでも、「一定のクオリティを証明するためのしるし」という感じでしょうか。私自身、現職に移ってから、様々な研究者と議論する中で非常に多くの学びを得ています。アカデミアの研究者だけでなく、製薬会社出身の研究者や、研究者から経営側に移った方と議論する機会が多いことも視野を広げる上で大きな影響を与えています。

好奇心を持って、ドアをノックしてください

当社には来年度複数名の博士が仲間に加わります。とても楽しみです。インターンシップは毎年行っていて、投資候補先の調査やイベントやアクセラレーションプログラムの企画・運営のサポート、面白い研究のリストアップなど、あらゆる業務を少しずつ体験していただきます。インターンシップのペースは週1、2回を数ヵ月、海外の大学で学んでいる方なら帰国時に短期集中と、状況に合わせています。業務内容や会社の風土などを見極めていただいています。

人材採用のポイントは5つ。1.自分の専攻分野についての質問にはしっかり回答できること。2.専攻以外のさまざまなサイエンス・テクノロジーに対する関心が強いこと。3.アカデミアに転がっているサイエンスやシーズをみて、組み合わせや掛け算をイメージし、創り上げていくことを楽しめること。4.論文を読むだけではなく、フットワーク軽く、先生や知人とコミュニケーションし、議論を発展させることができること。そして、5.ポジティブなマインドセットを持っていること。そんな方なら、当社でビジネススキルを獲得していけます。採用に当たっては、一人一人の方としっかり向き合い、関心のあることや物事を見る視点などをお伺いします。それに、最近は、起業する博士人材も増えてきていますね。起業に関心のある方々の相談も受け付けているので、気軽にドアをノックしていただきたいですね。

大学院生の交流の場がもっとあるといい

私の大学院時代にも、キャリアプランの参考になるイベントやセミナーが充実していて、豊富な情報を提供してもらえました。ただ当時は、研究に支障のない朝や夜の時間帯に実施されるプログラムがもう少し多ければいいな、と思っていました。また、集って励まし合えるコミュニティがあれば心強かったと思います。今はオンラインやアーカイブを活用したプログラムがあったりSNSで情報を発信してくれたりと、キャリア支援の形も多様化していることを感じます。

日本でも海外のように、博士で弁護士といったような、学位や資格をいくつも持っている方が増えています。資格に限らず、性別、国籍、おかれた環境など、一人一人の生き方が掛け算になって多様性が広がっています。博士号をひとつの武器として、そして縛られることなく、いろいろなチャレンジをしてほしいです。

記事の内容は、2022年3月取材時点の情報に基づき構成しています。