■身の回りのさまざまな流れ■

Q1.「粘度」と「動粘度」は同じものですか?

Q2.テレビで、白い液体が入ったプールで液体の上を落ちずに走っている人を見ましたが、あれはどのような流体ですか?

Q3.レイノルズ数が2000ないしは3000以上であれば乱流として扱って良いですか?

Q4.レイノルズ数の定義に使われる「代表的な寸法」、「代表的な速度」は具体的にはどのように選ぶのですか?

Q5.乱流になると必ず抵抗が減るのですか?

■先端技術における流体力学■

Q6.実際にフォーミュラーカーはどのような手法で設計しているの?

Q7.翼の先端から発生する渦はなぜ抑制する必要があるの?

Q8.飛行機翼のフラップにはなぜ隙間があいているの?

Q9.なぜ飛行機は墜落するの?

■流れの圧力■

Q10.昔の天気図の気圧はミリバール表記でした。今日の”hPa”とは違うの?

Q11.負圧は−1気圧以下にならないの?

Q12.油圧システムはどのような時に使われるの?

Q13.ダムへの水圧は貯水量に関係しないの?

■流れの速さと流路面積−質量の保存則■

Q14.突然に蛇口を閉じたら、ホース内の水は急停止するの?

Q15.どこまでも流路を絞れば、音速になるの?

Q16.先細管の場合、音速を超えた流れではどうなるの?

Q17.末広管の場合、音速を超えた流れではどうなるの?

■力と運動の関係■

Q18.ベクトル量って何ですか?

Q19.運動量の保存は、質量の保存と同じに見えます。何が違うのでしょうか?

Q20.曲がり部を通る流体にかかる力は分かりましたが、曲がり部にかかる力はどう表せますか?

Q21.無限小の検査体積と言われてもイメージが湧かないのですが….

Q22.コンピュータシミュレーションを使えばどんな流れも計算できますか?

■流れにおけるエネルギーの保存■

Q23.ベルヌーイの定理はどのようなときに使えるの?

Q24.揚力はベルヌーイの定理以外で説明できるの?

Q25.ピトー管以外にどのような流速計があるの?

Q26.どのような流量計があるの?

Q27.小さな力でたくさん流すにはどうすれば良いの?

■流れの相似■

Q28.風洞はどれくらいの速度を出せますか?

Q29.コンピュータを使えば、模型実験は必要ないのでは?

Q30.小さな昆虫が飛ぶ様子は大きな模型で再現できますか?

Q31.微生物の運動は、大きな模型で再現できますか?


■身の回りのさまざまな流れ■
Q1
「粘度」と「動粘度」は同じものですか?


A1
「動粘度」は粘度を密度で割ったものですので、「粘度」と同じではありません。ちなみに英語で「粘度」は"dynamic viscosity"、「動粘度」は"kinematic viscosity"と言います。英語の"dynamic"という言葉の語感から"dynamic viscosity"を「動粘度」と勘違いしてしまう人が多いので注意して下さい。

Q2
テレビで、白い液体が入ったプールで液体の上を落ちずに走っている人を見ましたが、あれはどのような流体ですか?


A2
水溶き片栗粉、すなわちダイラタント流体です。走る時には瞬間的に液面に大きな力が働きますので、それによって粘度が急激に上がって変形しにくくなるため、落ちずに走ることができます。

Q3
レイノルズ数が2000ないしは3000以上であれば乱流として扱って良いですか?


A3
よくある勘違いですが、「レイノルズ数が2000ないしは3000以上であれば乱流」となるのは円管内の流れで、しかもある一定の条件を満たす場合のみです。異なる幾何学的条件の流れでは全く違う話になります。

Q4
レイノルズ数の定義に使われる「代表的な寸法」、「代表的な速度」は具体的にはどのように選ぶのですか?


A4
「代表な寸法」や「代表的な速度」はその流れを考えるにあたって都合の良いように選びます。例えば、円管内の流れであれば「代表な寸法」は円管の直径、「代表的な速度」は断面の平均速度に、翼の周りの流れであれば「代表な寸法」は翼の長さ(コード長)、「代表的な速度」は翼から十分離れたところでの流れの速度といったように選ぶことが多いのです。

Q5
乱流になると必ず抵抗が減るのですか?


A5
一概にそうとは言えません。ゴルフボールの例では乱流になって圧力低下が緩和されることにより抵抗が減りましたが、壁面に沿う流れでは乱流になると逆に摩擦によって抵抗が増えてしまいます。

■先端技術における流体力学■
Q6
実際にフォーミュラーカーはどのような手法で設計しているの?


A6
風洞実験とコンピュータ・シミュレーションを併用して設計しています。レースのシーズンが始まる前は、時間に余裕があるので、2つの手法をうまく組み合わせて最も効率よく開発しています。レースのシーズン中は、各コースにあわせて、フォーミュラーカーの設計を改良する必要があります。例えば、高速サーキットでは抵抗をできるだけ少なくする変更をします。レースの間隔はおおよそ2週間と短いことから、すぐに答えが得られるコンピュータ・シミュレーションによる設計が必要不可欠になっています。

Q7
翼の先端から発生する渦はなぜ抑制する必要があるの?


A7
翼端渦は、飛行機の進行とともに後ろに流れますから、飛行機の航跡の中にも渦が形成されます。これが後方乱気流を引き起こし、飛行機事故の原因の一つになっています。発生後数分間持続し、時間が経過するとともにゆっくりと降下していきます。さらに風に流されたり、降りてきた渦が地面でバウンドしたりします。通常は目視できないため、大型機のすぐ後を飛行または離着陸する小型機は注意を要します。このため、先行機と後続機との重量に応じて、最低管制間隔を通常より大きく設けたり、無線通信により注意を促すなどの対策が採られています。

Q8
飛行機翼のフラップにはなぜ隙間があいているの?


A8
翼後縁が後ろにせり出し、同時に翼との間に隙間を作りながら下方に伸びるフラップをファウラーフラップと呼びます。翼面積が増加するとともに、隙間から吹き上げる気流によって剥離を遅らすことができ、もっとも効果の大きなフラップです。大型ジェット機などでは、せり出したフラップからさらにフラップをせり出す二重・三重ファウラーフラップを採用しています。

Q9
なぜ飛行機は墜落するの?


A9
飛行機の迎え角を大きくとると、剥離が起こります。剥離すると、揚力が減少し、抗力が増大します。この状態を失速と呼び、飛行機は操縦不能となり、高度が低い場合は地面に激突してしまいます。高度が十分にあれば余裕を持って回復操作ができます。

■流れの圧力■
Q10
昔の天気図の気圧はミリバール表記でした。今日の”hPa”とは違うの?


A10
従来、圧力の単位として様々な表記が使われてきました。バール(bar)はその一つで、1bar = 105 Paに相当します。つまり、1ミリバール(mbar)は1ヘクトパスカル(hPa)であり、表記は違いますが、同じ圧力(気圧)を示します。他に、標準気圧を単位とした1気圧(1atm = 1013.25hPa)、1 kgf/cm2 の圧力を単位とした1工学気圧(1at = 980.665hPa)、トリチェリのマノメータにおける水や水銀の液柱高さに基づく圧力表記(1mmH2O = 9.80665Pa、1mmHg = 133.322hPa)もあります。近年は、国際単位系(SI単位)に基づいてパスカル(1Pa = 1N/m2)を圧力の単位として使うことが多くなりました。

Q11
負圧は−1気圧以下にならないの?


A11
測定圧力が大気圧(= 1気圧)より低い場合に、その差を負圧(negative pressure)あるいは真空ゲージ圧(vacuum gage pressure)と呼びます。つまり、負圧が「−1気圧」とは、測定圧力の絶対圧力がゼロの時に相当します。圧力は、重さや温度などと同様に絶対零以下の負の値をとることのない物理量のため、ゲージ圧(負圧)が−1気圧を下回ることはありません。但し、流体が液体の場合には、飽和蒸気圧以下の低圧になれば液体は蒸発し、気泡が盛んに発生する現象(キャビテーション)を伴いますが、このときに−1気圧を超える負圧が発生します。

Q12
油圧システムはどのような時に使われるの?


A12
パスカルの原理を応用した油圧システムは、多くの工業用品に利用されています。電動モーターによるポンプや空気圧機器と比較しても、小型で大きな出力を得ることができ、さらに操作性や耐久性に優れています。例えば、建設機器(パワーショベル等)や、加圧装置(プレス機)、昇降装置(ジャッキ等)など大きな力が必要とされる場面や、自動車のブレーキや航空機の操縦系統など力(操作信号)を確実かつ即座に伝達する必要がある箇所に用いられます。

Q13
ダムへの水圧は貯水量に関係しないの?


A13
貯水されたダムには大きな水圧が作用します。その水圧は、水の密度、およびダムが水に接している部分の面積と形状のみに依存します。言いかえれば、貯水池の大小に関わらず、ダム表面の任意微小面積にかかる圧力は、その水深のみで決まります。つまり、ダムの貯水量自体には無関係です。但し、水位には依存するため、貯水池の水かさが増した場合は、ダムと水が接する面積が増え、かつ水深が大きくなるため、ダムにかかる水圧が増大します。

■流れの速さと流路面積−質量の保存則■
Q14
突然に蛇口を閉じたら、ホース内の水は急停止するの?


A14
ホース内を流れている水が蛇口の弁などで急にせき止めれられると、圧力が急激に上昇したり振動を生じたりします。これは、弁付近の水に急激な速度変化と圧力上昇が生じ、水の運動エネルギーが水の圧縮やホースの膨張などの弾性エネルギーに変化するためです。弁で発生した高い圧力は伝播して、管路(ホース)内に圧力変動を起こします。実際に、急に蛇口を閉めてみるとドンという音が聞こえます。このような現象を、水撃(water hammer)と呼び、ポンプなどに接続した管路に生ずると大きな事故の原因ともなり得ます。

Q15
どこまでも流路を絞れば、音速になるの?


A15
音速よりも遅い流れ(亜音速流)では、流路断面積が小さくなるにつれて速度およびマッハ数(速度÷音速)は増加し、圧力は減少します。しかしながら、速度が音速に達して音速流になると、ノズル内でそれ以上の速度増加は起こりません。超音速流(マッハ数が1以上)を得るには、途中から流路面積を広くした先細末広ノズル(ラバールノズル)を用いて、断面積最小部(スロート)でマッハ数が1に達するよう出口圧力等を調整し、拡大管によって超音速に増速させます。逆に、超音速から亜音速に流れを減速させる場合にもスロートは必要ですが、無い場合には衝撃波の発生によって超音速から亜音速にすることもできます。

Q16
先細管の場合、音速を超えた流れではどうなるの?


A16
音速を超えている場合は、流体を圧縮性流体として扱い(マッハ数0.3以上から圧縮性として扱うのが好ましい)、密度やエントロピー変化等を考慮する必要があります。等エントロピー流れとした場合には、断面積が減少すれば速度とマッハ数は減少し、圧力は増加しますので、このような先細管はディフューザとして働きます。つまり、亜音速流とは全く反対の増減関係と働きを示します。

Q17
末広管の場合、音速を超えた流れではどうなるの?


A17
超音速等エントロピー流れが末広の管内を通るとき、断面積の増加に伴って、速度とマッハ数は増加し、圧力は減少します。よって、超音速流れにおいて末広管はノズルとして働き、亜音速流とは全く反対の増減関係と働きを示します。

■力と運動の関係■
Q18
ベクトル量って何ですか?


A18
ベクトル量とは「速度ベクトル」や「加速度ベクトル」といったように、一つの方向に関連付けられた量です。これに対して、温度や圧力のように方向を持たない量をスカラー量といいます。

Q19
運動量の保存は、質量の保存と同じに見えます。何が違うのでしょうか?


A19
運動量の保存、質量の保存ともに、物理量が保存されるという考え方は全く同じです。ただ、保存される量が違います。質量はスカラー量ですが、ここで扱っているのは運動量というベクトル量です。流体の運動を考える場合には、どちらの量の保存も考える必要があります。

Q20
曲がり部を通る流体にかかる力は分かりましたが、曲がり部にかかる力はどう表せますか?


A20
曲がり部にかかる力は流体にかかる力の反力、即ち、同じ大きさを持つ反対向きの力で表せます。

Q21
無限小の検査体積と言われてもイメージが湧かないのですが….


A21
ここで言う無限小とは数学的な無限小とは少し異なり、流体分子の運動が集団運動としてみなせる最小の寸法を意味しています。ですので、この検査体積は実際にはある程度の大きさ(分子の平均自由行程で表される寸法)を持っています。

Q22
コンピュータシミュレーションを使えばどんな流れも計算できますか?


A22
できません。現実世界の流れの計算を行うには、ある寸法以下の小さな運動をモデル化し、またある寸法以上の大きな運動を「境界条件」として与える必要があります。その2つの間にある寸法、即ちコンピュータシミュレーションで扱える部分はコンピュータの計算能力が高くなれば広くなります。ですので、世界中で競って超高性能なコンピュータの開発が進んでいるわけです。

■流れにおけるエネルギーの保存■
Q23
ベルヌーイの定理はどのようなときに使えるの?


A23
ベルヌーイの定理は定常な一本の流線に沿ってのみ成り立ちます。さらに、非粘性かつ非圧縮性をもつ理想流体と仮定できて外部からの仕事を受けない場合には、常に全水頭一定として取り扱えます。但し、粘性摩擦等の種々の損失がある場合にも、各損失水頭を考慮すれば拡張は可能です。しかしながら、渦を伴う非定常な流れにおけるベルヌーイの定理の適用には注意が必要です。

Q24
揚力はベルヌーイの定理以外で説明できるの?


A24
解説では、揚力の発生原理としてベルヌーイの定理を用いましたが、厳密には正確でありません。例えば、平板に小さな迎え角を設けた場合に発生する揚力の説明が困難です。揚力の原理としては、(1)運動量保存と作用・反作用から、または(2)循環とマグナス効果から説明できます。
(1)翼の後部では、流体の流れの方向が(下向きに)変えられており、全体の運動量保存則を満足するために反作用として翼には上向きの力(揚力)がかかるため。
(2)翼周りに循環が生じており、マグナス効果(野球ボールなどが回転によりカーブする効果)によって上向きの力(揚力)がかかるため。

Q25
ピトー管以外にどのような流速計があるの?


A25
流れの速度を計る方法は多岐にわたります。例えば、加熱した金属細線を流れの中に入れて、流体に奪われる熱量からその点の流速を得る熱線流速計があります。これはピトー管に比べて、時間的・空間的分解能が高いことから、乱流の計測によく用いられてきました。他にも、注入したトレーサーを追跡することで流速を測る水素気泡法やスモークワイヤ法などが挙げられます。最近では、レーザーを用いたレーザードップラ流速計(LDV)や粒子像流速計(PIV)が使われており、非干渉で多次元的な速度分布測定が可能となってきました。

Q26
どのような流量計があるの?


A26
管路内の流量を計るため、様々な流量計(flow meter)があります。例えば、ベンチュリ管やオリフィス、フローノズルは、いずれも流れ方向へ管路断面積を絞り、絞り前後の圧力差からベルヌーイの定理によって管内を通過する流量を測定する装置です。通常、流量計内部は、拡大管や先細管などから成っており、縮流や剥離を伴うため、流量計における圧力の損失水頭は大きくなります。逆に、絞りを積極的に加えることで、圧力損失を大きくし流量を調整する装置を弁(valve)と呼びます。

Q27
小さな力でたくさん流すにはどうすれば良いの?


A27
より少ない動力(ポンプ揚程)で流体を流すには、管路中の圧力損失をできる限り削減する必要があります。管路面積の変化や曲がり管が少ない、つまり直管に近い設計が好ましく、さらに管内の表面も滑らかであれば摩擦損失が少なくなります。しかし、必要流量との関係上、流れが乱流状態である場合が一般的です。層流に比べて乱流による摩擦損失は非常に大きいため、乱流摩擦抵抗の低減を目指した研究が数多く行われてきました。例えば、ポリマーや界面活性剤などを添加することで乱流摩擦を低減したり(トムズ効果)、ポンプ動力を脈動させ再層流化させることで抵抗を減らしたり、または乱流の渦運動に制御を加えて乱流挙動を抑える技術が現在も開発されています。

■流れの相似■
Q28
風洞はどれくらいの速度を出せますか?


A28
非圧縮性の近似が成り立つ低速風洞や水槽は、自動車会社や鉄道会社などの研究所に主に設置されており、風洞では最速400km/hを出すことができます。その他、亜音速(マッハ数約0.8以下)、遷音速(マッハ数約0.8〜1.2程度)の風洞もあり、主に飛行機の開発に利用されています。遷音速以下の風洞ではファンによって流体に推進力を与えます。さらに、速度の速い超音速(マッハ数1.2〜5.0)や極超音速(マッハ数5.0以上)の風洞も存在し、これらの風洞は超音速飛行機やロケットの開発に用いられ、ファンではなく、圧縮空気の開放や真空タンクへの吸い込みなどにより流体を加速しています。ロケットの研究施設では、現在、最大マッハ数12程度の流速を実現する風洞が設置されています。

Q29
コンピュータを使えば、模型実験は必要ないのでは?


A29
コンピュータを使っても、流れを支配する方程式を厳密に解くことは非常に困難です。そこで、工学的には様々な工夫を施して、コンピュータを用いて、流れの近似解を求めています。しかし、その予測精度は十分とは言えません。そのため、模型実験を行い、その計測結果とコンピュータの予測結果と比較、検証を行いながら、設計を行う必要があります。

Q30
小さな昆虫が飛ぶ様子は大きな模型で再現できますか?


A30
全長数cmの小さな昆虫が飛ぶ様子を10倍の相似な形の模型で再現することを考えます。模型の密度を昆虫の密度と同じと仮定すると、重さは体積に比例するので、模型の重さは昆虫の体重の1000倍になりますが、羽根の面積は100倍にしかなりません。揚力が羽根の面積に比例することを考慮に入れると、模型と昆虫の羽ばたき回数が同一のままでは模型は飛ぶことができず、羽ばたき回数を増やす必要があります。昆虫の羽ばたき回数が毎秒20〜1000回であることを考えると、大きな模型で昆虫が飛ぶ様子を再現することは困難です。また、昆虫の飛行に関する近年の研究から、昆虫などの小型飛行体では慣性と粘性の作用がともに重要であることが明らかにされつつあります。大型の模型では粘性の作用が慣性の作用に比べ相対的に小さくなってしまいます。このことからも、小さな昆虫が飛ぶ様子を大きな模型で再現することは困難と言えます。

Q31
微生物の運動は、大きな模型で再現できますか?


A31
マイクロメートルの大きさの微生物の運動を、センチメートルの大きさの模型で再現することを考えます。微生物では、例えば、鞭毛(べんもう)と呼ばれるそれ自体が能動的に屈曲し、運動する能力をもつ微細な器官を回転させたり、波打たせたりして推進力を得ています。微生物の運動では非常にレイノルズ数が小さく、慣性の作用に比べ粘性の作用が大きく、粘性力により推進力を得ています。同一流体中で、大きな模型で同じ速度の運動を再現しようとしても、レイノルズ数が大きくなり、粘性の作用が相対的に小さくなるため、小さな推進力しか得られません。そのため、微生物の運動を大きな模型で再現することは不可能です。