レッスン1
Q1.1999年に起きたトンネルや高架橋のコンクリート剥離や落下事故とは具体的にどのようなことですか。
Q2.構造物の保全は事後保全と予防保全の二つに分かれますがそれぞれどのような保全の方法ですか。
Q3.計画的な維持管理における特徴は何ですか。
Q4.維持管理における主たる課題は何でしょうか。
Q5.橋梁を架け替えるか、補修・補強によって使い続けるかを判定する確立された手法はありますか。
Q6.橋梁の維持管理点検の高精度化、省力化に向けた開発にはどのようなものがありますか。
Q7.社会基盤の維持管理について、もっと詳しく知りたいのですが。
レッスン2
Q1.橋梁維持管理支援システムで使っているニューラルネットワーク、ファジー、エキスパートシステムなどの詳細が知りたいのですが。
Q2.橋梁を維持管理するシステムは山口大学以外の機関では研究されていないのですか。
Q3.橋梁維持管理支援システムの詳細を知りたいのですが。
レッスン3
Q1.劣化による事故の対応として高速道路の点検方法の改善をあげていますが、現在点検はどのような方法で行っているのでしょうか。
Q2.このレッスンで取り上げている道路公団による高速道路の維持管理について、より詳しく知りたいのですが。
Q3.地下鉄トンネルのコンクリートの目視や打音検査とは、具体的にどのようなことでしょうか。
Q4.地下鉄トンネルのコンクリート構造物の劣化の原因の1つとして環境の変化をあげていますが、これは具体的にどのようなことでしょうか。
Q5.このレッスンで取り上げている地下鉄トンネルの維持管理について、より詳しく知りたいのですが。
レッスン4
Q1.構造的安全性とはどのようなことですか。
Q2.合流式下水道雨天時越流汚濁負荷の削減方法にはどのようなものがありますか。
Q3.管路の総合的な維持管理計画とはどのようなものですか。
Q4.予防保全的な維持管理とはどのようなものですか。
Q5.このレッスンで取り上げている「下水管路の維持管理・更新」について、より詳しく知りたいのですが。
Q6.流域全体の土砂管理とは、どのようなことでしょうか。
Q7.深層DOとは何ですか。
Q8.ダム下流の生態系の回復を目的としたフラッシュ放流のためのダム湖水位の弾力的管理とは、どのようなことでしょうか。
Q9.このレッスンで取り上げている「ダムの維持管理と高度利用」について、より詳しく知りたいのですが。
Q10.一級河川とはどのようなものですか。
Q11.このレッスンで取り上げている「河川管理の課題と展望」について、より詳しく知りたいのですが。
レッスン5
Q1.港湾施設の劣化度はどうやって調べるのですか。
Q2.岸壁の改良とは、具体的にどのような工事になるのでしょうか。
Q3.このレッスンで取り上げている港湾施設の維持管理の現状と課題について、より詳しく知りたいのですが。
Q4.空港と飛行場の違いは何が違うのですか。
Q5.空港における通常の維持管理業務にはどのようなものがありますか。
Q6.空港舗装における定期点検項目はどうようなものがありますか。
Q7.空港舗装の設計荷重はどのようなものですか。
Q8.既設舗装構造の評価はどのように行うのですか。
Q9.このレッスンで取り上げている空港施設の維持管理の現状と課題について、より詳しく知りたいのですが。
レッスン6
Q1.我が国の舗装はなぜアスファルト舗装が多いのですか。
Q2.アスファルト舗装のデメリットは何ですか。
Q3.コンポジット舗装の材料は何ですか。
Q4.東京都が行った試験施工で明らかとなった検討課題はどのようなものですか。
Q5.海外にも橋梁マネジメントシステムはありますか。
Q6.日本の橋梁マネジメントシステムの開発はどのような段階なのでしょうか。
Q7.橋梁マネジメントシステムを詳しく解説した文献はありますか。
Q8.ライフサイクルコストとはどのようなものですか。
Q9.硫化水素はどのようにして発生するのですか。
Q10.下水道事業における省エネルギー化をもう少し詳しく説明して下さい。
Q11.維持管理における住民参加の効果にはどのようなものがありますか。
Q12.維持管理における住民参加の課題にはどのようなものがありますか。
Q13.GISとはどういう意味ですか。
Q14.GISを使うことによるメリットは何ですか。
Q15.日本政府におけるGISの取り組み状況を詳しく説明して下さい。
Q16.現在、日本で入手可能なGISデータはどのような種類があるのでしょうか。
Q17.ISO/TC211とは、どのようなものですか。
レッスン7
Q1.ニューヨーク市民が大規模な道路構造物の保全への投資に理解を示しているのはなぜですか。
Q2.米国の橋梁設計基準において維持管理について十分な考慮が強調されたのはなぜですか。
Q3.米国における公認点検員訓練コースでの研修内容はどのようなものですか。
Q4.チリで、「維持管理を考えた建設および効率の良い維持管理」が課題である理由は何ですか。
Q5.ザンビアではどのように道路維持管理の財源の拡充が行われましたか。
レッスン8
Q1.「エコロジカルな街」を簡潔に表現すると、どうなりますか。
Q2.「井田法(せいでんほう)」とはどのようなものですか。
Q3.このレッスンで取り上げている「エコロジカルな街づくり」について、より詳しく知りたいのですが。
Q4.みなとみらい21はどのような性格の都市ですか。
Q5.臨海部再開発において交通基盤整備がなぜ大切なのでしょうか?
Q6.歩行者空間のネットワーク整備の一環である「スーパーブロック方式」の開発手法の長所はどのような点にありますか。
Q7.臨海部再開発において交通基盤整備がなぜ大切なのでしょうか。
Q8.「まちづくり基本協定」は、「横浜市福祉の街づくり条例」とはどのように違うのですか。
Q9.時代の変化とともに多摩NTの計画の考え方はどのように変わってきたのでしょうか?
Q10.このレッスンで取り上げている「30年が経過した多摩ニュータウン」について、より詳しく知りたいのですが。
レッスン1
Q1
1999年に起きたトンネルや高架橋のコンクリート剥離や落下事故とは具体的にどのようなことですか。
A1
1999年6月27日、山陽新幹線福岡トンネルにおいて、トンネルアーチ部のコンクリートが剥離・落下し、走行中の新幹線を直撃し、新幹線の屋根が大破する事故が起きています。落下したコンクリート塊は長さ約2m、重量200kgに達し、剥離・落下の原因はコールドジョイントとされています。同年10月9日には、山陽新幹線北九州トンネルで、落下している側壁コンクリートの塊が、点検作業時に発見されています。そのほかにもこの年、高架橋の下面のコンクリートが一部剥落する事故が多発し、新聞やテレビで報道されました事を指しています。
なお、JR西日本は、同年10月25日から12月15日の52日間、山陽新幹線全142トンネル(延長280.495m)を対象に、述べ69,000人を動員して「山陽新幹線トンネル安全総点検」を実施し対策を行っています。
Q2
構造物の保全は事後保全と予防保全の二つに分かれますがそれぞれどのような保全の方法ですか。
A2
事後保全とは、劣化現象が表面化してから対策を施す従来の維持管理手法です。
予防保全とは、劣化現象が現れる前に予防的な対策を施す計画的な維持管理手法のことです。
Q3
計画的な維持管理における特徴は何ですか。
A3
従来の維持管理と計画的な維持管理における大きな違いは、初期診断において、想定される劣化原因について診断を行い、予防保全で対処すべきものと事後保全で対処すべきものとに分類し、調査診断結果に基づいて健全度診断をおこない、劣化の将来予測が可能なものについては、同時に劣化予測を行うことにあります。そして、リニューアルが必要と判断された場合、要求性能を再度設定した上で、実行可能なリニューアル計画を複数立案し比較検討し、最適化判定を行い最適案を選定します。
Q4
維持管理における主たる課題は何でしょうか。
A4
維持管理技術に関する主たる技術的な課題は4つあります。
1つ目は、維持管理更新技術は新しい技術分野であることです。
既設社会基盤施設の維持管理更新に関する研究開発は十分とは言えません。維持管理に関する技術は、新しい施設を建設するよりも難しく、社会的な重要度も高いと言われており、優秀な技術者の確保と養成が重要です。
2つ目は、劣化の将来予測に影響を及ぼす因子の数が多いことにあります。
計画的な維持管理を実施するためには、劣化の将来予測が不可欠です。劣化の将来予測によってライフサイクルコストの算定が可能になり、それによって初めて計画的な維持管理が可能になります。劣化のメカニズムが明確なものについては、理論式を構築することが可能です、影響する因子が多い場合には確率論的なアプローチも必要です。
3つ目は、耐久性評価指標を明らかにすることです。
初期診断において、構造物の耐久性を的確に評価することが重要です。コンクリートでは強度や水セメント比等間接的な指標が耐久性評価に用いられていますが、耐久性を直接的に評価する指標および試験方法の研究開発が望まれています。
最後は、ライフサイクルコストによる事業評価システムの定着にあります。ライフサイクルコストによる事業評価が一般的に行われるようになれば、劣化の将来予測技術や耐久性の評価指標に関する研究は急速に進歩すると予想されます。
Q5
橋梁を架け替えるか、補修・補強によって使い続けるかを判定する確立された手法はありますか。
A5
確立された手法というものは特になく、橋梁個々によって判定しているのが現状です。
現在開発中の手法として、プルーフロード試験と称されるシステムがあり、試験的な実施も行われています。この試験は、実際の橋に対する載荷試験とFEM解析によって、保証される荷重レベルを決めようとするものです。
Q6
橋梁の維持管理点検の高精度化、省力化に向けた開発にはどのようなものがありますか。
A6
実際の交通荷重に対する挙動や応答をひずみゲージや変位計で自動的に採取し、それを光ファイバー等の通信網によって直接研究機関に送信できるシステムが開発されています。
また、維持管理作業の効率化及び維持管理者の意思決定支援を目的とした「橋梁維持管理支援システム(BMS)」が開発されています。
Q7
社会基盤の維持管理について、もっと詳しく知りたいのですが。
A7
このレッスンは、土木学会誌2000年2月号の特集「社会基盤の維持管理と再生を考える」のうちの「社会基盤の長寿命化に向けた維持管理技術の動向」(著者:三木千壽)と「土木構造物の維持管理とライフサイクルエンジニアリング」(著者:金氏眞)をもとに作成しています。こちらを参照して下さい。
レッスン2
Q1
橋梁維持管理支援システムで使っているニューラルネットワーク、ファジー、エキスパートシステムなどの詳細が知りたいのですが。
A1
下記論文を参照ください。
1) 宮本文穂ほか「コンクリート橋診断ニューロ・ファジエキスパートシステムの開発と信頼性の向上」
土木学会論文集 No.510/VI-26, P.191-101 1995.3
Q2
橋梁を維持管理するシステムは山口大学以外の機関では研究されていないのですか。
A2
独立行政法人 土木研究所でもすすめられています。詳しくは、同コース、レッスン6「維持管理の新技術」の学習画面「橋梁マネジメントシステムの概要」をご覧下さい。
Q3
橋梁維持管理支援システムの詳細を知りたいのですが。
A3
以下の文献を参照して下さい。
1 )土木学会誌
Vol85, Feb. 2000 P.10-13 宮本文穂
2 ) 宮本文穂ほか「BridgeManagementSystem(BMS)を利用した既存橋梁の最適維持管理計画の策定」 土木学会論文集 No.588/VI-38,
P.191-208 1998.3
3) 宮本文穂ほか「BridgeManagementSystem(BMS)の開発」 土木学会論文集 No.560/VI-34,
P.91-106 1997.3
レッスン3
Q1
劣化による事故の対応として高速道路の点検方法の改善をあげていますが、現在点検はどのような方法で行っているのでしょうか。
A1
国土交通省が管理する一般国道以外の自動車専用道路、都市内高速道路等でも各機関(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団等)の組織内担当部署にて保守点検が行われています。
日本道路公団では、検査路を利用した直接目視を基本としていますが、作業効率の向上を目指し「BIR」と称される点検ロボットを開発し、現在試験運用中です。
首都高速道路公団では、予防保全の考え方を強化し、平成13年度から3ヶ年かけて点検の強化・充実を図っています。このため点検手法の機械化、高度化を狙いとして非破壊検査、微破壊検査などの点検手法を調査検討中です。
阪神高速道路公団では、維持管理に関するデータベース「保全情報システム」を開発し、平成6年度から運用を開始しています。日常点検データのペーパレス化を目指し、点検業者からのデータ転送、結果の閲覧、電子決済、判定結果、補修業者への指示、データベース登録までの一連の作業のシステム化に取り組んでいます。
Q2
このレッスンで取り上げている道路公団による高速道路の維持管理について、より詳しく知りたいのですが。
A2
このレッスンを作成する上に用いた論文を紹介しますので参照して下さい。
「高速道路保全の課題」 土木学会誌 Vol.85 2000年2月 p24-27
Q3
地下鉄トンネルのコンクリートの目視や打音検査とは、具体的にどのようなことでしょうか。
A3
目視とは、熟練技術者を中心とする調査グループが、巻尺やクラックゲージ等の簡単な調査器具を用いて、ひび割れの幅、位置、方向や遊離石灰等の変状状況を観察し、トンネルの健全度を評価するものです。これらの調査結果は、一般的には、変状展開図として、まとめられ、調査を行う毎に重ね書きされ、変状の進行性を把握するために利用されています。
打音法とは、コンクリートをハンマーで打撃し、打撃音あるいは腕への反発の感触からコンクリートの劣化状況や潜在的な剥離の有無を判断するものです。これらの調査結果も、変状展開図に記入されます。現在の方法は、打撃音を人間の耳で聞き分けており、客観性のある記録が残せない課題があります。最近では、一定の打撃を与え打撃音を計測することで客観性を持たせた「コンクリート打音診断システム」(写真)が開発されています。本システムでは、足場を設けて、近接してコンクリートを打撃するために、作業性が新たな課題です。
打音法によるコンクリート診断システムの一例
Q4
地下鉄トンネルのコンクリート構造物の劣化の原因の1つとして環境の変化をあげていますが、これは具体的にどのようなことでしょうか。
A4
ここでは、地下鉄トンネルに近接した大型ビルや地下鉄の新設工事などを指しています。
Q5
このレッスンで取り上げている地下鉄トンネルの維持管理について、より詳しく知りたいのですが。
A5
このレッスンを作成する上に用いた論文を紹介しますので参照して下さい。
「地下鉄トンネルの補修・改良」 土木学会誌 Vol.85 2000年2月 p27 -30
レッスン4
Q1
構造的安全性とはどのようなことですか。
A1
下水道管路は道路の下に建設されるため、下水を流下させる機能の他に地盤を支持する役目も必要となります。そこで、車両が通過するときに地盤に作用する力に耐え得る構造的な強さが求められます。
Q2
合流式下水道雨天時越流汚濁負荷の削減方法にはどのようなものがありますか。
A2
合流式下水道の雨天時越流汚濁負荷の削減方法としては以下の方法が主に採られています。
1)雨水吐きの統合や堰の嵩上げ
2)雨天時下水遮集量の増大
3)汚濁負荷が大きい初期雨水の貯留と処理
4)管内洗浄によるファーストフラッシュ濁負荷の低減
5)遮集方式の改善(スワール分水槽の整備)
Q3
管路の総合的な維持管理計画とはどのようなものですか。
A3
管路の健全性を回復する方法を検討・選定することの他に、劣化原因を解明することで、改築時の設計手法を見直したり、材料を変更することで劣化を防止あるいは、劣化を抑制し補修までの期間を延長させる等、設計時に考慮する点や施工時に注意する点の検討や対応策の立案までを含めた維持管理計画のことです。
Q4
予防保全的な維持管理とはどのようなものですか。
A4
管路の劣化(損傷が生じることによって引き起こされる現象)が予測される位置を定期的に調査し、発生した劣化が軽微な時点で劣化の状態に合わせた補修を行なうことで、管路を維持していく維持管理方法のことです。。
Q5
このレッスンで取り上げている「下水管路の維持管理・更新」について、より詳しく知りたいのですが。
A5
このレッスンを作成する上に用いた論文を紹介しますので参照して下さい。
「下水管路の維持管理・更新」 土木学会誌 Vol.85 2000年2月 p33-35
Q6
流域全体の土砂管理とは、どのようなことでしょうか。
A6
流域全体の土砂管理とは、山岳地域における流出土砂の抑制、ダムにおける堆積土砂の排出、海岸における土砂供給減少に伴う海岸浸食の防止など、土砂の発生から流出までの流域全体の連続する土砂移動を一環的に正常な状態に管理することです。
Q7
深層DOとは何ですか。
A7
溶存酸素の略称で、水中に溶解している酸素ガスのことです。
河川や海域での自浄作用や、魚類をはじめとする水生生物の生活には不可欠なものです。
一般に、魚介類が生存するためには3mg/L以上が必要であり、良好な状態を保つためには 5mg/L以上が望ましいとされています。
また、好気性微生物が活発に活動するには2mg/L以上が必要であり、それ以下になると嫌気性分解が起こり、硫化水素やメルカプタンなどの悪臭物質が発生します。農業用水としては、5mg/L以下では根腐れなどの障害が起きます。
Q8
ダム下流の生態系の回復を目的としたフラッシュ放流のためのダム湖水位の弾力的管理とは、どのようなことでしょうか。
A8
ダム湖水位の弾力的管理とは、ダムの洪水調節容量の一部を利用して流水を一部ダムに貯留し、その貯留水を河川流量が減少している時のフラッシュ放流や渇水支援に活用することです。平成13年度に19ダムが実施の予定です。
Q9
このレッスンで取り上げている「ダムの維持管理と高度利用」について、より詳しく知りたいのですが。
A9
このレッスンを作成する上に用いた論文を紹介しますので参照して下さい。
「ダムの維持管理と高度利用」 土木学会誌 Vol.85 2000年2月 p31-32
Q10
一級河川とはどのようなものですか。
A10
国土保全上または国民経済上、特に重要な水系で政令で指定したものに係わる、公共の水流、水面をいい、国土交通大臣が指定した河川です。
Q11
このレッスンで取り上げている「河川管理の課題と展望」について、より詳しく知りたいのですが。
A11
このレッスンを作成する上に用いた論文を紹介しますので参照して下さい。
「河川管理の課題と展望」 土木学会誌 Vol.85 2000年2月 p35-37
レッスン5
Q1
港湾施設の劣化度はどうやって調べるのですか。
A1
港湾施設の主な構造物としては、鋼構造物とコンクリート構造物があります。鋼構造物については、防食工の劣化及び鋼材の腐食が主な対象となります。これらの劣化度は、例えば防食工については防食電位の測定、陽極の消耗量調査等により、鋼材の腐食については肉厚測定等により調査します。また、コンクリート構造物については、塩害による鉄筋の腐食およびひび割れ等が主な対象となります。これらの劣化度は目視による点検を基本とします。例えば鉄筋の腐食の可能性については、被りコンクリートのコア採取による塩分含有量試験等により調査します。
Q2
岸壁の改良とは、具体的にどのような工事になるのでしょうか。
A2
岸壁の改良としては、対象船舶の大型化に伴う増深や耐震強化等があげられます。増深の場合には、岸壁本体工に作用する土圧等の外力の増大を防ぐために背面を軽量土や空間で置き換え、上載荷重を桟橋等の別構造で支持することなどが考えられます。耐震強化の場合には、岸壁背後の地盤改良等が考えられます。
Q3
このレッスンで取り上げている港湾施設の維持管理の現状と課題について、より詳しく知りたいのですが。
A3
このレッスンを作成する上に用いた論文を紹介しますので参照して下さい。
「港湾施設の維持管理」 土木学会誌 Vol.85 2000年2月 p37-39
Q4
空港と飛行場の違いは何が違うのですか。
A4
軍用、民間用等の運航目的に係わらず航空機が離着陸を行う場合は全て飛行場と呼ばれるのに対し、空港は飛行場の機能に加え、旅客や貨物を輸送するための機能を備えたものです。我が国の空港整備法では、「空港とは、主として航空輸送の用に供する公共用飛行場である」と定義されています。
Q5
空港における通常の維持管理業務にはどのようなものがありますか。
A5
空港の維持管理業務としては、草刈工、路面清掃工、脱油清掃工、排水溝清掃工、ゴム除去工、標識工、塗装工、植木手入れ工、目地補修工の他、除雪工等があります。
Q6
空港舗装における定期点検項目はどのようなものがありますか。
A6
800m以上の滑走路を有する空港の舗装定期点検項目は、
1)路面性状
2)舗装強度
3)すべり抵抗性
4)縦・横断勾配
になります。
Q7
空港舗装の設計荷重はどのようなものですか。
A7
設計荷重としては、現在就航している(または就航予定の)航空機の中で最も厚い舗装厚を必要とする航空機が属する設計荷重区分を選ぶことが一般的です。例えばB-747-400型機が属するLA-1荷重区分の場合、総質量396t、脚荷重910kNです。
Q8
既設舗装構造の評価はどのように行うのですか。
A8
舗装解体調査は経済的に多数実施することは困難であり、解体調査からの評価は点の評価になりがちです。これに対し、FWDを用いた非破壊調査は面的な評価も可能ですが、舗装構造の深度方向の評価は必ずしも十分ではありません。したがって、舗装構造の評価は解体調査と非破壊調査を適切に組み合わせることにより評価することが望まれます。
Q9
このレッスンで取り上げている空港施設の維持管理の現状と課題について、より詳しく知りたいのですが。
A9
このレッスンを作成する上に用いた論文を紹介しますので参照して下さい。
「空港の維持管理」 土木学会誌 Vol.85 2000年2月 p39-41
レッスン6
Q6-1
我が国の舗装はなぜアスファルト舗装が多いのですか。
A1
我が国ではアスファルト舗装がほぼ100%を占めています。その理由は、乗り心地が良く、安価で急速施工ができることによります。特に都市内では占用工事が多く復旧しやすい点で優れています。
Q2
アスファルト舗装のデメリットは何ですか。
A2
大型車交通量の増加対策として、基層のアスファルト混合物を厚くする構造強化では、変形しやすい材料が厚くなり、わだち掘れ対策には効果がありません。また、補修工事では高性能混合物を使っても基層が厚いと冷えにくく、長い養生時間が必要で急速施工のメリットが発揮できない点が問題です。
Q3
コンポジット舗装の材料は何ですか。
A3
新設や拡幅などの工事では、軟弱な路床はセメント系や石灰系改良材を用いて設計CBRが6以上を目標に路床を構築します。路盤は高強度セメント処理混合物、基層はコンクリート版、ローラ転圧コンクリート版(RCC)、連続鉄筋コンクリート版(CRC)が検討の対象となります。補修工事では粒度調整砕石などの現路盤を路上再生路盤工法により改良します。基層は、プレキャストCRC版や半たわみ性版のほか、耐久性が高い大粒径アスファルト混合物や新材料のアスファルト乳剤とセメントをバインダーとする高強度常温複合混合物舗装も検討の対象となります。
表層は、単路部では高粘度アスファルト低騒音舗装を、交差点では高耐久性のエポキシ樹脂アスファルト混合物を用いることを検討しています。
Q4
東京都が行った試験施工で明らかとなった検討課題はどのようなものですか。
A4
1)RCC版はリフレクションクラック対策
2)半たわみ性版の急速施工
3)プレキャストCRC版は施工コスト低減と急速施工
4)大粒径アスファルト混合物は耐流動性効果の高い配合の決定。および急速施工。
5)高強度常温複合混合物は補修工事に適用した耐久性
等がそれぞれに必要です。
Q5
海外にも橋梁マネジメントシステムはありますか。
A5
各国で開発中です。たとえば、米国、英国、カナダ、デンマーク、フィンランド等、西欧諸国の公的機関、国内外の大学等の研究機関でも活発に開発が行なわれています。
米国の「PONTIS」、デンマークの「DANBRO」と称されるシステムはすでに実用化されています。
Q6
日本の橋梁マネジメントシステムの開発はどのような段階なのでしょうか。
A6
国内では、建設省 土木研究所において1990年頃から開発が始められ、1998年に橋梁マネジメントシステムのプロトタイプが完成しています。現在は国土交通省の各事務所にて試験運用が継続されており、これと並行してシステムの改良が加えられています。
Q7
橋梁マネジメントシステムを詳しく解説した文献はありますか。
A7
独立行政法人 土木研究所で以下の報告書がまとめられています。
土木研究所資料 No.3633「橋梁マネジメントシステムの開発に関する研究報告書」(平成11年3月)
Q8
ライフサイクルコストとはどのようなものですか。
A8
ライフサイクルコストとは、調査、設計、建設、運用、廃棄の全期間に渡り必要となる費用の総額であり、全体を現在価格で評価するために利率の考慮も必要です。
Q9
硫化水素はどのようにして発生するのですか。
A9
硫化水素は、下水中に存在するタンパク質を形作る物質の一つであるイオウ化合物が硫酸塩還元細菌などのバクテリアによって分解されることで生成されます。なお、このバクテリアは嫌気性細菌であるため下水が滞留し、嫌気化することで増殖します。そのため、管路を流れる下水が滞留しやすい場所、例えば伏せ越し上下流部などでは発生しやすいとされています。
Q10
下水道事業における省エネルギー化をもう少し詳しく説明して下さい。
A10
下水道施設は電力などのエネルギーを用いて、下水を処理する施設であるため、エネルギー消費型の施設と評価されます。このため、処理に必要とするエネルギーを少なくすることや下水のもつエネルギーを取り出すことは、限りある地球資源を長期的に利用する上で大変重要なことです。そこで、温度変化が少ない下水と温度変化が大きい大気温度との温度差発電やヒートポンプ熱源への利用が提案され、それらの技術が実用化しつつあります。また、比較的エネルギーの高い汚泥焼却時の廃熱を利用した発電や脱硫、脱煙時の高温排水を利用した地域暖房の熱源としての利用も推進されています。
Q11
維持管理における住民参加の効果にはどのようなものがありますか。
A11
福島工事事務所では、福島西道路の住民参加の効果について平成10年度に、行政(建設省、福島県、福島市)と地域住民を対象に調査を実施しました。調査結果によれば、地区協議会に参加することで、道路整備に対する意識が変わったという人が8割にものぼり、住民の意識を道路整備に向ける効果があったといえます。また、整備に自分の意見が反映されていると感じることにより、道路への愛着がわいたという意見も多く見られます。
また、国土交通省のボランティア・サポート・プログラムの理念では、住民グループの道をきれいにしようという活動により、地域コミニュテイの活性化も期待できるとしています。
Q12
維持管理における住民参加の課題にはどのようなものがありますか。
A12
行政内部の連携不足、住民側の地区同士の連携不足により問題が生じる場合があります。行政側は、国や市といった垣根を越え、調整を充分に行う必要があり、行政内部の役割分担を明確にするとともに、地域住民にわかりやすく説明することが必要です。
住民側の内部の連携として、隣接地区同士の連携の促進の課題もあります。そのために、行政側は、地区協議会の場の提供や、活動の広報の支援の検討をおこなう必要があります。
道路整備および維持管理活動への理解と協力を得るためには、計画の初期の段階から住民参加をとおして、話し合いを重ね、地域とともに育む姿勢を持つことが重要です。
Q13
GISとはどういう意味ですか。
A13
国土地理院のホームページによると、GISの定義は、以下のとおりです。
“地理情報システム(GIS:Geographic Information Systems)は、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術である。”
つまり、GISとは、等高線や河川網、植生、土地利用情報等の地理的座標を持った各種主題図に対して、地理的位置や空間に関する情報を持った自然、社会、経済等の属性データ(空間データ)を統合的に管理、分析し、その結果を表示する情報処理体系のことです。
Q14
GISを使うことによるメリットは何ですか。
A14
GISの処理体系には、大別して、人力により処理を行う方法と、コンピュータにより処理をおこなう方法の2種類あります。近年では、空間情報基盤の整備やコンピュータ技術の進歩により、コンピュータによる手法が主流となっており、膨大なデータの管理、解析処理、表示が可能です。
そのため、
1) 同一の座標系に変換したデータであれば、1枚の主題図上で自由に重ねあわせ表示ができる。
2)必要な情報を視覚的に取得したり格納したりすることができる。また、格納されたデータについて、様々な地理解析処理を行うことができ、解析結果を簡単に出力端末に表示することができる。
3)デジタル化された地理情報は、ネットワークを通じてデータをリアルタイムでやりとりすることができる。
4)データベースとリンクすることにより、より多様な情報の蓄積・加工・解析が可能となる。
という利点を持っています。
Q15
日本政府におけるGISの取り組み状況を詳しく説明して下さい。
A15
阪神・淡路大震災を機に、GISの必要性が認められ、GIS学会から「空間データの社会基盤整備に関する提言書」が政府に提出されるなど、我が国におけるGISの利用は、徐々に高まりを見せています。
政府は、平成7年9月に内閣内政審議室の主催により、国土庁国土情報整備室、建設省国土地理院を事務局として、「地理情報システム関係省庁連絡会議」を設置しています。この連絡会議の主な目的は、各行政機関によるGISの効率的な整備およびその相互利用を関係省庁の密接な連携のもとに促進し、GISおよび国土空間データ基盤の整備・普及のための検討を行うことです。
下表に、地理情報システム関連省庁連絡会議を中心としたGISの動向を示します。
表 地理情報システム関連省庁連絡会議を中心としたGISの動向
Q16
現在、日本で入手可能なGISデータはどのような種類があるのでしょうか。
A16
現在、日本で入手可能なデジタル化された地図情報は、大別して以下の2種類があります。
・ 政府が整備した国土データ基盤(国土数値情報や細密数値情報等)
・ 民間が整備した各種主題図(カーナビ用市街地図・道路地図、各種白地図イメージ等)
以下に、政府が整備している各種国土データ基盤の一例を示します。
・ 数値地図10000(総合)
・ 数値地図25000(海岸線・行政界)
・ 数値地図50mメッシュ(標高)
・ 数値地図250mメッシュ(標高)
・ 数値地図1kmメッシュ(標高/平均標高)
・ 数値地図2500(空間データ基盤)
Q17
ISO/TC211とは、どのようなものですか。
A17
ISO/TC211とは、ISO(国際標準化機構)がGISの標準化を目的に1994年(平成6年)に発足させた専門委員会(Technical
Committees)で、25の作業項目について標準化の検討を進めています。
目的:この標準は数値的な地理情報分野の標準であり、地球上の位置と直接または間接に関係する現象および対象物に関する情報のための構造化された標準体系を確立することを目的としています。
適用範囲:この標準体系の構造は、データ管理(記述と定義を含む)、取得、処理、解析、検索、表現、及び異なる利用者、システム、場所に存在する数値/電子的データ変換を行うための地理情報、方法、ツール及びサービスに関する仕様を標準化しようとするものです。標準化の作業では、様々な分野の地理情報応用技術の開発のための枠組みを提供するとともに、情報技術に関係する既存の標準、データとの関係を確立する必要があります。
レッスン7
Q1
ニューヨーク市民が大規模な道路構造物の保全への投資に理解を示しているのはなぜですか。
A1
ニューヨーク市の運輸局が、1973年のウエストサイドフリーウエイのコンクリート落下事故や1980年のブルックリンブリッジの吊り材落下事故および荒廃し交通止めせざるを得なかった高架橋などの維持管理の重要さなどを教訓として生かしているからです。
Q2
米国の橋梁設計基準において維持管理について十分な考慮が強調されたのはなぜですか。
A2
厳しい財政状況や資源の有効利用を進める世界的な風潮が背景としてあります。
1950年から1960年代にかけての米国は、道路建設ブームであり、橋梁においても建設が中心であり維持管理の必要性や点検および耐久性についての配慮はほとんどされていませんでした。しかし、1967年にオハイオ州のシルバーブリッジが落ち46名の死者を出し、全米に大きな衝撃を与えたことが維持管理重視への転機となりました。
Q3
米国における公認点検員訓練コースでの研修内容はどのようなものですか。
A3
公認点検員制度の必要性、橋梁の歴史、構造力学、橋梁点検の概論、橋梁構造別および材料別の点検ポイント、損傷別判定基準、事例研究、実地研修、および橋梁マネジメントシステムとなっています。
Q4
チリで、「維持管理を考えた建設および効率の良い維持管理」が課題である理由は何ですか。
A4
チリにおいて道路整備が本格化したのは1990年の民政移管後であり、まだ道路構造物の大半が比較的新しい状況です。しかしながら、米国の要領AASHTO(American
Association of State Highway and Transportation Officials) を基準に設計を実施していますが、自国に適用した建設、維持管理についての施工管理基準が存在しないため、アスファルト・コンクリート等の品質が一定していません。こうした現況から、チリ国の構造物も近い将来、日本と同様にコンクリート落下等の老朽化が問題となると思われるからです。
Q5
ザンビアではどのように道路維持管理の財源の拡充が行われましたか。
A5
ザンビアでは、1994年10月にガソリン税・軽油税を財源とする道路特定財源が確立され、その後、税率の引き上げ、また、国際通行税・重量車両通行税を加えることで道路特定財源が拡充されてきました。財源規模は1995年の約900万ドルから1998年には、3,500〜4,000万ドルにまで拡大しており、この財源は道路の維持管理に集中的に使用されています。
レッスン8
Q1
「エコロジカルな街」を簡潔に表現すると、どうなりますか。
A1
人工的なクローズドシステムを持つか、または自然の生態連鎖系に融合した持続可能な街づくりを示します。
Q2
「井田法(せいでんほう)」とはどのようなものですか。
A2
井田法とは、中国の周の時代に行われていた田祖法であり、孟子によって創られました。約27ヘクタールの正方形の田を井の字の形に9区画に分割し、周囲の8区画を8軒に割り当てて耕作させ、中央の1区画は共同で耕作して年貢を納めるというものです。
本文では、井田法によって割り当てられる土地の広さ(10人あたり約1万平米)が、自然の生態系の中で、人間生活や人間社会が持続できるエコロジカルな生活様式と説明されています。
Q3
このレッスンで取り上げている「エコロジカルな街づくり」について、より詳しく知りたいのですが。
A3
このレッスンを作成する上に用いた論文を紹介しますので参照して下さい。
「エコロジカルな街づくり」 土木学会誌 Vol.85 2000年2月 p59-60
Q4
みなとみらい21はどのような性格の都市ですか。
A4
東京都区部への一極依存構造の是正を目的とし、業務機能等の高次都市機能を備えた自立都市圏の形成によるバランスのとれた圏域構造の確立を目指す業務核都市として位置づけられています。同様な都市に、立川市、八王子市、横浜市、川崎市、大宮市等があります。
Q5
臨海部再開発において交通基盤整備がなぜ大切なのでしょうか。
A5
広大な臨海部においては、既存都市地域との連携が不可欠であり、アクセス利便性を確保する骨格的な交通インフラの整備が最も重要です。事業を早く立ち上げるためにも、また共同溝等の都市の堅固なライフラインの構築のためにも重要です。 市街地と比較し土地取得が容易な臨海部の場合は道路に限定せず軌道系の交通手段の可能性を検討することも必要です。
Q6
歩行者空間のネットワーク整備の一環である「スーパーブロック方式」の開発手法の長所はどのような点にありますか。
A6
大規模な面整備事業において、施工者は広幅員の骨格的道路の整備により大街区の形成を行い、区画の中の整備は個々の地権者等の開発事業者に委ねることにより、自由な発想に基づくまちづくりを促すことができる開発手法です。
Q7
「まちづくり基本協定」は、「横浜市福祉の街づくり条例」とはどのように違うのですか。
A8
「まちづくり基本協定」は、「横浜市福祉の街づくり条例」とは異なり、議会の議決を必要としない制度です。このため社会の変化に柔軟に対応でき、また関係者の合意も得られやすいという利点があります。反面、強制力が弱いという弱点があります。
Q8
このレッスンで取り上げている「みなとみらい21事業の役割と推進状況」について、より詳しく知りたいのですが。
A8
このレッスンを作成する上に用いた論文を紹介しますので参照して下さい。
「みなとみらい21事業の役割と推進状況」 土木学会誌 Vol.85 2000年2月 p61-65。
Q9
時代の変化とともに多摩ニュータウンの計画の考え方はどのように変わってきたのでしょうか。
A9
初期には、首都圏への人口流入に対処するため、標準設計による集合住宅の大量供給が進められました。歩車分離の考え方が道路・交通システムの思想に取り入れられました。
展開期に入ると、都市構造づくりの視点から、多様で変化にとんだ配置・構成による街並みづくり、オープンスペースを集約した基幹空間の形成、歩車共存の道路・交通システム等が取り入れられました。
成熟期になると、新住宅市街地開発法が改正され、多機能複合都市の理念のもとに幅広い業務施設の導入が計画されました。
Q10
このレッスンで取り上げている「30年が経過した多摩ニュータウン」について、より詳しく知りたいのですが。
A10
このレッスンを作成する上に用いた論文を紹介しますので参照して下さい。
「30年が経過した多摩ニュータウン」 土木学会誌 Vol.85 2000年2月 p65-68
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