Q1.一度、地盤災害が発生すると、同じ地点では同じ原因による災害は再発しませんか?

Q2.地球温暖化による海面上昇はどの程度と予想されていますか?

Q3.なぜ、谷地では地震動が増幅しやすいのですか?

Q4.地下水位の低下によって沈下が生じた場合、地下水位が元に戻ると、沈下も回復しますか?

Q5.地下水位はどうやって測るのですか?

Q6.どのような岩石が風化しやすいですか?

Q7.地中でも岩石が風化することがあるのですか?

Q8.70mmの豪雨ってどんな感じですか?

Q9.がけ崩れ、土石流が発生した場合の被害範囲を想定することはできますか?

Q10.谷埋め盛土ではどのような地盤災害が考えられますか?

Q11.地下探査にはどのようなものがあり、どのようなことが分かりますか?

Q12.「崖崩れ」と「地すべり」の違いは何ですか?

Q13.すべり面の強度はどのようにして知るのですか?

Q14.土の中の間隙はどのようにして測るのですか?

Q15.どのようにすれば土は良く締め固まりますか?

Q16.「サクション」を計測する方法を教えてください。

Q17.地震時の斜面安定解析手法について教えてください。

Q18.一般の土構造物の設計では、安全率をどのように決めていますか?

Q19.すべり面で発揮できる抵抗力」の方が「すべり面より上の土塊の滑動力」より大きい場合、土塊は逆に上方へすべり上がるのですか?

Q20.擁壁の設計で用いられる安全率について教えてください。

Q21.数値実験の信頼性はどのようにして確認するのですか?

Q22.活断層はどうやって特定するのですか?

Q23.地質図はどこで入手することができますか?

Q24.地質図はどうやって作るのですか?

Q25.地層の年代はどうやって特定するのですか?

Q26.なぜ、戸建宅地の調査にはスウェーデン式サウンディング試験が用いられているのですか?

Q27.宅地が被害を受けて裁判を行った例はありますか?

Q28.ハザードマップはどうやって手に入れるのですか?

Q29.擁壁が大丈夫かを確認する方法を教えてください。

Q30.専門家はどこにいるのですか?

Q31.基礎の種類はどのように選ぶのですか?

Q32.液状化対策方法について詳しく教えてください。

Q33.ソフト的対策での点検・監視について詳しく教えてください。

Q34.災害が発生した時に社会基盤の復旧を効率的に行う工夫がありますか?

Q35.スーパー堤防による「まちづくり」は、既存の町は対象外ですか?

Q36.スーパー堤防では後背湿地の上に盛土することになりますが、不同沈下や液状化などの危険はないですか?

Q37.アンカーは錆びないのですか?

Q38.土石流を捕捉するとはどういうことですか?

Q39.土砂で埋まった砂防ダムは、もう役に立たないのですか?

Q40.「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、どのような組織で、いつ頃から始まったのですか?

Q41.新しい宅地開発が急傾斜地崩壊危険箇所数の増加の理由だそうですが、開発にあたって、条件や制限はないのですか? 

Q42.急傾斜地崩壊危険個所数が平成14年に急に増えているのは理由がありますか?

Q43.急傾斜地崩壊などの災害防止工事の費用は誰が負担するのですか?

Q44.ハザードマップはどこで手に入りますか?

Q45.ハザードマップがない地域は危険がないということですか?

Q46.自主防災組織はどのようにつくるのですか?

Q47.地盤工学の技術者は、専門家として、どのように共助に参加できますか?



Q1
一度、地盤災害が発生すると、同じ地点では同じ原因による災害は再発しませんか?


A1
一般に、地盤災害は再発するものと考える方が良いでしょう。
例えば、地すべり地帯には棚田や段々畑が多く存在しますが、これらは地すべりが繰り返し生じた結果です。すべり面には地すべり粘土と呼ばれる弱部が存在し、小さなバランスの変化でも地すべりが発生しやすくなっています。
岩盤の風化に起因するがけ崩れでは、新たに露出した岩盤が風化し、繰り返しがけ崩れが発生します。

Q2
地球温暖化による海面上昇はどの程度と予想されていますか?


A2
気象庁「地球温暖化予測情報 第7巻(2008年)」によると、21世紀末における平均気温の上昇は1.8〜4.0℃程度、海面上昇は0.18〜0.59mとなっています。この予測の開きは、人間活動による二酸化炭素排出シナリオの違いによるものです。地球温暖化は人間の取り組み方次第ともいえるようです。
因みに、過去における最も近い年代の海面上昇のピークは約6000年前の縄文海進とされています。その頃の海面の高さには諸説ありますが、今より3m前後高かったとする説が多いようです。また、縄文海進当時の平均気温は現在より1〜2℃程度高かったとされています。
(気象庁HPを参照)

Q3
なぜ、谷地では地震動が増幅しやすいのですか?


A3
以下に説明するいくつかの理由で、谷地では地震動が増幅されやすくなります。
地震では、同じエネルギーであれば、硬い層より軟らかい層の方が大きく揺れます。谷地の地盤は軟弱ですので、地震動は増幅されて大きくなります。
また、地震波の波長と層厚との関係で、地震動の共振が生じます。谷地の軟弱層は地震波の伝搬速度が遅く、同じ振動数では波長が短くなり、比較的薄い層でも共振が生じて、大きく揺れることがあります。谷地形に軟弱層が堆積している場合は、位置によって層厚は変化しますので、ちょうど共振する層厚となる位置があるかもしれません。
更に、地震のエネルギーの蓄積も考えられます。地震のエネルギーは硬い層から軟らかい層には伝わりやすく、軟らかい層から硬い層には伝わりにくいのです。一旦軟弱地盤に入った地震のエネルギーが、窪みとなっている谷地の軟弱地盤の中に累積して、揺れが大きくなることも考えられます。

Q4
地下水位の低下によって沈下が生じた場合、地下水位が元に戻ると、沈下も回復しますか?


A4
圧密により生じた変形は荷重が除荷されても元には戻りません。従って、地下水位が元に戻っても、沈下はほとんど回復しません。

Q5
地下水位はどうやって測るのですか?


A5
地上から孔を掘っていくと、土が湿ってきて、孔の底に水が溜まるようになります。しばらく放置して、一定になった水面の高さが地下水位です。地上から棒を挿入し、引き上げ、濡れた位置から地下水位を確かめることができます。電気的に水を検知できるセンサーを孔の中にぶら下げて測ることもできます。フロートを水面に浮かべて、その高さから水面の位置を測定することもできます。
しばらく孔を掘り進んでも地下水位は一定ですが、水を透しにくい粘性土層(不透水層)を掘り抜いたところで水位が変化することがあります。不透水層の上下で水圧が異なっているからです。上を不圧地下水、下を被圧地下水といいます。不圧地下水は浅層地下水、自由地下水とも呼ばれます。被圧地下水は深層地下水とも呼ばれます。不透水層を掘り抜いた時の水位は被圧地下水位とは限りません。被圧地下水と不圧地下水とが通じているので、両者の間の水位となっているからです。
被圧地下水位を正確に測るためには、不圧地下水との縁を切る必要があります。ゴムの袋(パッカーといいます)を巻いたパイプを孔に挿入し、不透水層の所でパッカーを膨らませて上下の縁を切れば、パイプには不圧地下水は入ってきません。パイプの下部からだけ地下水が入っていますので、パイプ内の水面は被圧地下水の圧力に相当する高さ(被圧地下水位)となっています。不圧地下水位と同じ方法で、パイプの中で被圧地下水位を測ることができます。
地下水位を正確に測るために、水位を測定したい深さのパイプ側面に、水を透す加工をします。パイプ側面に穴やスリットを設け、スクリーンを巻いて、水は入るが土砂は入らないようにしておきます。
長期の地下水位測定を行うには、自動式の水位測定器を使います。水位の検出にはフロート式、もしくは、水圧式を用います。水圧式では、一定深さに固定した水圧計で検出した水圧から水位を算出します。記録方法はチャート紙に描くものと、電気信号をロガーに保存するものがあります。

Q6
どのような岩石が風化しやすいですか?


A6
風化には物理的風化作用、化学的風化作用があります。
物理的風化作用は主に温度変化による差別的膨張と水の凍結膨張などがその原因と考えられています。つまり、この風化作用は「岩石を崩壊させる」タイプの風化です。熱膨張率が大きい、密度が低い、水が浸み込みやすいなどの性質をもつ岩石は物理的風化作用を受けやすい岩石といえます。
化学的風化作用に関しては、以下のことが知られています。
・一般に有色鉱物(雲母、カンラン石など)は風化しやすく、無色鉱物(石英、長石など)は風化しにくい。
・有色鉱物および無色鉱物ともに高温で晶出する鉱物の方が風化しやすい傾向がある。
玄武岩、安山岩、花崗岩などは有色鉱物を多く含んでいるので化学的風化しやすいといえます。
なお、物理的風化作用と化学的風化作用はそれぞれが単独で進行することは少なく、両作用が相互に絡み合いながら進んでいくのが一般的です。


Q7
地中でも岩石が風化することがあるのですか?


A7
一般に、風化は地表面に露出した岩石において生じます。風化には物理的風化作用と化学的風化作用があり、化学的風化作用によって岩は変質し、粘土を生成します。
化学的風化作用は水に含まれた化学物質によって行われますので、割れ目からしみ込んだ水によっても風化は生じます。 岩石の粘土化により岩盤内に弱部ができ、斜面の安定性が低下して地すべりが起きやすくなります。
因みに、すべり面で岩がこすれあうことでも、岩は粘土化します。

Q8
70mmの豪雨ってどんな感じですか?


A8
気象庁では別表のように表現しています。
マンホールの蓋があふれた水で押し上げられて開くことがあります。

(気象庁HPより引用)

Q9
がけ崩れ、土石流が発生した場合の被害範囲を想定することはできますか?


A9
法令では、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域などの指定があります。
土石流については、一次谷を形成している地形を起点とし、渓床勾配が2°(土砂災害防止法)までを終点とする区域を、一般的な被害想定範囲とします。
個別の検討では、予めGISデータによる地形情報をコンピュータ上で復元し、土石流の流れを時間の経過とともに再現する氾濫シミュレーションによる予測方法があります。

Q10
谷埋め盛土ではどのような地盤災害が考えられますか?


A10
谷埋め盛土とは、谷部を埋めるように盛った盛土です。水が流れる部分を堰き止めるようになるので、排水が不完全である場合は、盛土内の地下水位が高くなり、地震時に盛土内の間隙水圧が上昇すると、盛土底面のすべり抵抗が低下して、谷の傾斜に沿って滑動する地盤災害が起きています。
地震以外でも、谷筋に沿って盛土内に水みちができ、空洞化し陥没に至る場合もあります。


(国土防災技術株式会社HPより引用)


Q11
地下探査にはどのようなものがあり、どのようなことが分かりますか?


A11
地下探査は地盤の物理的な現象から地中の様子を探る調査法で、物理探査とも呼ばれます。物理的な現象として、電流、電波、振動、温度などが使われます。
主な物理探査法を以下に示します。
地中レーダー法(下図)は地中に向けてレーダー波を送信し、材料の変化面(空洞の場合は土と空気の境界)からの反射波を検出する方法で、埋設物や空洞の位置が分かります。
電気探査は、地盤に電流を流し、地表面での電位の分布を測定し、その結果を解析して地中の比抵抗(電気抵抗)の分布を知る方法です。岩盤・地盤の比抵抗の関係から、おおよその地層構造が分かります。
弾性波探査は、地盤に振動を与え、離れた点で測定した振動から、弾性波が伝わる経路と速さを推定します。岩盤・地盤の弾性波速度の関係から、おおよその地層構造が分かります。

(川崎地質株式会社HPより引用)

Q12
「崖崩れ」と「地すべり」の違いは何ですか?


A12
斜面崩壊のうち、主として地質構造的要因によって斜面が広い範囲にわたって滑働するものを地すべりと言います。地すべりにはごく緩慢か滑動が長期間続くものが多く、中には断続的な滑動が数十年に渡るものもあります。
一方、崖崩れは、小規模な斜面崩壊を指し、海岸段丘や河川段丘が関係しており、段丘崖が崩壊する事例が多いと言われます。崖崩れを地形的、地質的に大まかに分類すると、下図に示すように、崩積土の崩壊、表土の崩壊、滞積土の崩壊、基岩の崩壊に分類されます。

Q13
すべり面の強度はどのようにして知るのですか?


A13
斜面の安定性を検討する際に必要となるすべり面における強度を決定する定数として、粘着力Cとまさつ係数tanφがあります。
これらの強度定数を設定する方法として、原位置におけるせん断試験結果に基づく方法、ボーリングなどによって採取された不攪乱試料を用いた室内試験結果に基づく方法、既往の調査・試験結果を基に与えられているN値や岩盤分類と強度定数の相関関係を用いて推定する方法などがあります。
このうち室内試験による方法では、想定されるすべり面上の拘束圧下で、現実に即した試験条件(排水条件、せん断速度、異方性など)で強度定数を求めるのが理想です。一般的に用いられている試験には、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験、一面せん断試験などがあり、特殊な用途あるいは詳細な試験方法として、中空供試体によるねじりせん断試験や残留強度をもとめるためのリングせん断試験、繰り返し一面せん断試験等があります。表に、強度定数を求めるための試験方法と特徴を示します。


Q14
土の中の間隙はどのようにして測るのですか?


A14
間隙比eは、土粒子の体積Vsに対する間隙Vvの体積の比、すなわち、
e=(Vw+Va)/Vs=Vv/Vs=(V-Vs)/Vs
で定義されます。ここに、Vwは間隙水の体積、Vaは空気の体積です。
間隙率eは、土粒子の密度試験によって得られる土粒子の密度ρsと土の湿潤密度試験から得られる湿潤密度ρt、含水比wから次式によって算定できます。
e=ρs/ρt・(1+w/100)−1


Q15
どのようにすれば土は良く締め固まりますか?


A15
土の締め固め効果を上げるには、現場の土質に応じて適切な転圧機械を選定することとその適用方法を検討することが重要となります。通常、締め固めの施工前に転圧試験や実験室内での締め固め試験を実施し、最適含水比の確認、適正な撒きだし厚さの決定、締め固め度の確認を行います。

Q16
「サクション」を計測する方法を教えてください。


A16
原位置および室内のサクションを計測する装置として「テンシオメータ」や「サイクロメーター」があります。また、熱散逸センサーを用いた熱散逸法という測定法もあります。
テンシオメーターは、図に示すように、一般にセラミック製のポーラスカップを土中に埋設し、これとチューブを介して圧力計につないだものです。あらかじめ脱気されたポーラスカップの内部は水で満たされており、不飽和土にテンシオメーターを挿入すると、ポーラスカップ内の水圧が土中水の圧力よりも高いので、水はテンシオメーターから飽和したポーラスカップを通して、土中水と平衡に達するまで移動し、不飽和土ではテンシオメーター内の水は負圧となります。この圧力を圧力計で測定します。


Q17
地震時の斜面安定解析手法について教えてください。


A17
地震による斜面の安定性が損なわれる際、その力学的機構には幾通りのタイプが考えられますが、最も直接的な要因としてあげられるのは、地震動に伴い斜面自身に作用する慣性力の影響です。地震動によりもたらされる慣性力の各方向成分の大きさを重力加速度の絶対値の定数倍、すなわち水平および鉛直震度係数kh、kvとして簡略化します。円弧すべり法に代表される極限平衡法など静的な釣り合い計算において、震度係数に基づく地震外力を系に作用させることで、地震時の斜面安定解析を行います。これを一般に震度法と呼んでいます。

Q18
一般の土構造物の設計では、安全率をどのように決めていますか?


A18
航空機の設計では、機体の安全率を1.05としています。しかし、土構造物では自然由来の材料を相手にしているために、いろいろな不確定な要素があるので、安全率に余裕をもって設計されています。
例えば、道路盛土や護岸構造物の斜面安定に対する安全率は、一般に1.2〜1.5程度の安全率で設計されています。

Q19
すべり面で発揮できる抵抗力」の方が「すべり面より上の土塊の滑動力」より大きい場合、土塊は逆に上方へすべり上がるのですか?


A19
ここで言う「すべり面で発揮できる抵抗力」は、最大限発揮することのできる力の大きさを表しており、実際にすべり面上に作用する力の大きさを表しているのではありません。従って、 「 すべり面で発揮できる抵抗力」の方が「すべり面より上の土塊の滑動力」より大きい場合は斜面は安定し、土塊は静止していると考えられます。


Q20
擁壁の設計で用いられる安全率について教えてください。


A20
「道路土工」と呼ばれる設計指針では、擁壁の安定に関しては、(1)滑動、(2)転倒、(3)基礎地盤の支持力について検討する場合が一般的であり、擁壁が軟弱地盤上や斜面上に設置される場合は、(4)背面盛土および基礎地盤を含む全体としての安定、を検討する必要があるとされています。
滑動に対しては、Fs=(滑動に対する抵抗力)/(滑動力)であらわされる安全率が1.5を満足する必要があります。
転倒に対しては、擁壁底面に作用する荷重合力Rの作用点の底版中央からの偏心距離eが、底面幅Bの1/6以下である必要があります。
基礎地盤の支持力に対しては、安全率が3.0を満足する必要があります。
また、地震時の検討では、より厳しい安全率が設定されており、
(1)滑動の安全率1.2、(2)転倒はe≦B/3、(3)支持力の安全率2.0となっています。

Q21
数値実験の信頼性はどのようにして確認するのですか?


A21
現場実験や模型実験は、実際の地盤挙動を再現するのに有効な方法ですが、多くの時間と費用がかかり、しかも精度の良い実験には熟練した技術者が必要です。
実験の役割をコンピュータに委ねる方法が「数値実験」です。これは、土の挙動を再現するための数理モデルに基づき、コンピュータにより地盤挙動を予測するものです。過去に発生した災害等の再現にもよく用いられることから「数値シミュレーション」とも呼ばれることがあります。
現場における施工時の計測値や地震時の変形量、模型実験における各種計測値を再現することの出来る数値実験こそが、信頼性のあるものと考えることができます。現在でも多くの研究者によって、数値実験の信頼性向上のための研究が精力的に進められています。

Q22
活断層はどうやって特定するのですか?


A22
最近の地質時代に繰り返し活動し、将来も活動を継続すると考えられる断層を活断層と呼びます。プレートの境界面に位置する日本列島は地盤に蓄積される歪みが大きく、周辺の海底も含めれば約2,000の活断層があるとも言われています。近い過去に繰り返し地震が発生している活断層では今後も地震が発生する可能性が高く、活断層の位置や活動度の情報は防災上非常に重要です。活断層は、その活動の累積により低断層崖、三角末端面、河川屈曲、断層池、閉塞丘といった特徴的な断層変位地形を形成します。これら断層変位地形を探すためには空中写真判読が有効です。活断層については、文部科学省・国土交通省・産業総合研究所などによって調査がなされ、多くの評価結果が出されています。

文部科学省 地震調査研究推進本部
  長期評価 : http://www.jishin.go.jp/main/p_hyoka02.htm
国土交通省 国土地理院
  都市圏活断層図 : http://www1.gsi.go.jp/geowww/bousai/menu.html
産業総合研究所 地質調査所
  活断層データベース : http://www.aist.go.jp/RIODB/activefault/cgi-bin/index.cgi

Q23
地質図はどこで入手することができますか?


A23
地質図は独立行政法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター(旧、通産省工業技術院地質調査所)にて作成されているものが有名です。全国をカバーする地質図としては、5万分の1が最も大縮尺であり詳細な解説書が付いています。地形図と異なり、地質図は調査範囲内をくまなく歩いて作成するため、大変な手間と労力がかかります。そのため、まだ完成していない範囲もかなりあります。
独立行政法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター
http://www.gsj.jp/Map/index.html

Q24
地質図はどうやって作るのですか?


A24
地質図は野外調査、室内分析を繰り返して情報を集め、それをもとに原図を作成し、執筆・製図、印刷をへて完成します。
地質図では、表土や植生が無い状態の地層や岩石の分布を表します。しかし、実際には土や草木に覆われて、全面的には岩石を観察できません。地層には広い範囲に連続するものがたくさんあります。それらは、隣り合う調査ルートで同じ地層が確認されれば、その間にも連続して分布していると推定します。なるべく多くのルートを調査し、連続する地層を追いかけます。こうして野外調査を続け、データを増やしていくと、最初は点にすぎなかった露頭の情報も、調査が進めば線状につながってきます。地質図の作成では、このように情報を点から線、線から面へと広げていきます。
植生や土壌がある限り、地層の露出には限界があり、地域を全面的に調べ尽くすのは困難です。どうしても調査できない場所は、最後にはさまざまな状況証拠から推量して地質図を完成させます。
地質図の作成方法について詳細が産業技術総合研究所 地質調査総合センター地質図のホームページに記載されています。
http://www.gsj.jp/geomap/chousa/process.html

Q25
地層の年代はどうやって特定するのですか?


A25
地質年代測定法は、測定対象とする時代に応じて様々な方法があります。このうち、地震や古環境の研究に最もよく用いられる年代測定法は14C法です。これは、地層中に含まれる有機物(木片や貝殻など)を用いた年代測定法で、測定可能な年代は現在〜5万年前程度です。測定原理として、放射性同位元素である14Cが半減期5730年で14Nに壊変することを用います。この年代値は生物が体内に炭素を取り入れなくなってからの年代(すなわち死んでからの年代)を測っているわけで、それが地層の堆積年代として妥当かどうかは堆積状況などから判断する必要があります。14C法は有機物が得られない地層や、5万年前よりも古い年代測定には不向きです。数万年前〜数10万年前の年代を精度良く得る方法として14C法に匹敵するような年代測定法は今のところ存在しません。


Q26
なぜ、戸建宅地の調査にはスウェーデン式サウンディング試験が用いられているのですか?


A26
1998年の建築基準法の改正以降、地盤の許容応力度に応じた建築物の基礎の構造方法等が定められました。また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(2000年4月1日施行、以下、品確法と呼ぶ)の創設により、新築住宅の構造耐力上の主要な部分の瑕疵担保期間を10年とする制度が確立しました。この品確法に連動して、「建築基準法」についても改正が行われ、地盤の強度に応じた基礎の形式が規定されました。つまり、基礎構造の選定に際しては地盤調査を実施して調査データから地盤の強度の把握が必要になりました。この地盤強度の把握については、国土交通省告示第1113号第2項に3種類の式が記載されており、それぞれ以下の試験に対応しています。

・ボーリングサンプリング、標準貫入試験、土質試験
・平板載荷試験
・スウェーデン式サウンディング

このように地盤強度を把握するための手法として明記された点や、短時間に3〜5ポイントの調査が可能であることから、戸建宅地内の地盤の硬軟傾向を経済的に把握できる唯一の調査法として普及しています。

一方、スウェーデン式サウンディング試験の欠点としては、土をサンプリングできないことにより直接的に土を診て・触って確認することができないことが挙げられます。例えば、セメント改良を行う場合、腐植土層はフミン酸の影響により固化不良となるケースが多々あります。スウェーデン式サウンディング試験では、腐植土と粘土の区別が難しいため、セメントなどで地盤改良を行った場合に、固化不良により不同沈下の原因となる場合があります。

Q27
宅地が被害を受けて裁判を行った例はありますか?


A27
平成18年第一審通常訴訟の新受事件数(全地方裁判所)では、総数148,776件のうち土地を目的とする訴えは10,189件あり、全体の6.8%にあたります。これらの中から特筆すべき判例について以下に示します。
-------------------
【裁判事例地震多発地での宅地分譲における宅地売主の責任】
仙台高裁判決 平成12年10月25日(判例時報 1764号 82頁)
《要旨》
10年に1回程度、震度5の地震が発生している地域なら、それに耐え得る宅地でなければ瑕疵があるとされた事例
(1) 事案の概要
地方公共団体Yは、昭和42年から45年にかけて、市内北東部の丘陵地に大規模な住宅用団地(177ha、2,400区画)を造成し、順次分譲販売した。Xら(購入当時8名)は、昭和44年から46年の間に、本件団地内の宅地をそれぞれYから買い受けた。本件団地は、切土地盤、盛土地盤、切土と盛土の境(以下「切盛境」)の三種類のものが存在することとなったが、Xらは、そのことを知らないまま購入し、その敷地にそれぞれ木造家屋を建築して、入居した。
昭和53年6月、震度5の大地震が起こり、本件宅地に数箇所の亀裂と一部地盤沈下が発生し、本件各居宅にも、基礎及び壁面の亀裂、床面の沈下等の被害が生じた。Xらは、Yの造成工事が地震に耐えられなかったものだったために本件宅地等に損害が発生したとして、Yに対し、売主の瑕疵担保責任に基づいて、建物修補費用等及び宅地の価格減少分の損害賠償を求めて提訴した。
(2) 判決の要旨
1)当該地域では、10年に1回程度震度5の地震が発生していたから、その程度の地震に耐え得る宅地でなければ、一般的な造成宅地として通常有するべき品質と性能を欠くものといえる。
2)本件宅地付近では、Xらの居宅を含めて家屋が倒壊する甚大な被害はなく、家屋の被害は基礎及び壁等の亀裂・歪み、ブロック塀等の倒壊の被害が目立つに過ぎない。したがって、本件宅地における被害状態、気象庁発表の情報によれば、本件宅地の震度は5と判断される。
3)Yは、大地震に対する耐震性について、明確な基準ないし経験則がなかった旨主張するが、本件造成工事は事前に地質調査も行い、過去の新潟地震等の経験から、耐震性の高い地盤にする造成工事を行うことは可能であったので、Yの主張は採用できない。
4)以上によれば、YはXに対し、瑕疵担保責任に基づく損害賠償として、信頼利益である本件各居宅の修補費用等のうち、瑕疵と相当因果関係にある7割相当額及び今後必要となる特殊基礎工事費を支払うことが相当である。
(3) まとめ
宮城県沖地震に伴う宅地被害について、同様の訴訟では、宅地に瑕疵がなかったとしているもの(仙台地判 平成4年4月8日 判例時報1446号98頁)もあり、宅地地盤の耐震性については、さまざまな条件が関係することから、客観的な基準を設けることは難しいと思われる。
-------------------
このような不動産に関係する紛争事例については、不動産適正取引推進機構によって紛争事例データベースとして公開されています。

Q28
ハザードマップはどうやって手に入れるのですか?


A28
ハザードマップは津波・地震・火山・風水害等の自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図に示したものです。必要に応じて、予測される災害の発生地点、被害の範囲および被害程度、さらには避難経路、避難場所等の防災情報を地図上に図示しています。ハザードマップを利用することにより、災害発生時に迅速・的確に避難を行うことができ、また二次災害発生予想箇所を避けることが出来るため、災害による被害軽減に有効です。
ハザードマップは全国の区市町村が作成しており、洪水ハザードマップ、内水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップ、火山ハザードマップ、高潮ハザードマップ、津波ハザードマップ、宅地ハザードマップ、地震防災マップなどがあります。
このような各種ハザードマップは、国土交通省によりインターネットで簡易に検索・閲覧できるポータルサイトが公開されています。
http://www1.gsi.go.jp/geowww/disapotal/
URL等が公開されていない場合には、各自治体に問い合わせてください。

Q29
擁壁が大丈夫かを確認する方法を教えてください。


A29
国土交通省では、宅地造成等規制法に関連して、宅地擁壁老朽化判定マニュアル(案)と我が家の擁壁チェックシート(案)を公開しています。宅地擁壁老朽化判定マニュアル(案)は、宅地擁壁の老朽化等による危険度判定に関する標準的な評価方法を示したもので、地方自治体の行政担当者が参考にするために作成されたものです。一方、我が家の擁壁チェックシート(案)は、擁壁の危険度を概略的に知りたい住民の方を対象に作成されたものです。
http://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/kaihatu_kyoka/index.htm
他には、日本建築士事務所協会連合会には石積み、ブロック積み擁壁の自己診断マニュアルがあるので、参考にしてみてはいかがでしょうか?
http://www.njr.or.jp/a05/youheki.html

チェックシートにて擁壁に問題がある場合には、専門家に問い合わせてください。

Q30
専門家はどこにいるのですか?


A30
住民からの地盤災害の相談事を受け入れる組織には下記のようなところがあります。

■行政機関
・国や都道府県の土木課、河川課、砂防課など
・市町村の土木・建築指導課など
■学術学会
・地盤工学会
・土木学会
・建築学会
・日本地すべり学会
■公益法人
・日本技術士会
・全国地質調査業協会連合会
・日本建築士会連合会
・日本建築士事務所協会連合会
■NPO(特定非営利活動法人)
・都市災害に備える技術者の会
・地質情報整備・活用機構
■民間コンサルタント
・地質調査業や建設コンサルタント業を営む民間企業
(平成21年2月27日現在)

基本的には、行政機関に相談して、そこから紹介してもらうことが良いでしょう。

Q31
基礎の種類はどのように選ぶのですか?


A31
木造住宅の基礎は大きく3種類に分けられます。
1つ目は「布基礎」です。部屋の形にそってコンクリート構造の基礎を連続して施工します。
2つ目は「ベタ基礎」です。基礎の内側にさらにコンクリートを打ち込んで施工します。一般的に「ベタ基礎」は地盤の悪い土地に適しています。強固な土地に「ベタ基礎」を施工してしまうとオーバークオリティーになってしまいます。
3つ目は「杭基礎」です。「布基礎」の下にコンクリートや鉄製の杭を設置するものです。「ベタ基礎」では対応できない非常に軟弱な土地に対して有効になります。基礎を選ぶ上で重要なことは、専門家に地盤を調査してもらい、地盤の強さに合った適切な基礎を施工することです。

Q32
液状化対策方法について詳しく教えてください。


A32
液状化対策工法として代表的な4種類の工法について、概要等を以下に示します。
(1) 排水工法(グラベルドレーン工法)
砂地盤中に透水性の良い砕石の杭を造成することによって、地震発生時の過剰間隙水圧を消散させ、液状化を防止する工法です。特徴として、無振動・低騒音施工が可能で、施工時に発生する周辺地盤変位はほとんどありませんが、地震後に排水に伴う沈下が発生する可能性があります。
(2) 締固め工法(サンドコンパクションパイル工法)
ケーシングパイプを先端閉塞の状態で地中に貫入させ、所定の深度に達したところでケーシング内に砂を入れ、ケーシングを引き抜きながら、砂を地中に圧入することにより、締固められた砂杭を形成します。この時、周辺地盤を側方に圧縮するとともに振動締固めを行う工法です。液状化対策工法として最も実績がありますが、施工時、施工基盤の隆起など周辺地盤に変位を与える可能性があることや騒音振動が発生する場合もあります。
(3) 固結工法(深層混合処理工法)
セメント系等の改良材を水と混合して地盤に圧送し、攪拌翼により攪拌混合することにより地盤中に強固なセメントパイルを造成します。地盤を格子状に改良し、固化体で囲まれた砂地盤のせん断変形を抑止することにより、液状化の発生を防止します。特徴として、必要に応じて強度の調整が可能、低騒音・低振動の施工が可能といったメリットもあります。
(4) 地下水低下工法(ディープウェル工法)
対象砂質土中に0.5〜1.2m の径で削孔し、直径0.3〜0.8m のストレーナー管を挿入して、その周囲をフィルター材で充填して井戸をつくります。その中に排水ポンプを設置・揚水することにより地下水位を低下させる工法です。

Q33
ソフト的対策での点検・監視について詳しく教えてください。


A33
老朽化などの、災害時に被害を大きくする素因を検出し、既に見つかっている素因に対しては経過の監視および補修を行っています。
日常点検、定期点検、災害発生時の緊急点検などが行われており、点検結果はカルテに記録され、管理されています。カルテは維持管理、災害対策に活かされます。
災害危険箇所に監視機器を設置し、災害の誘因となる降雨や地震の情報、危険の兆候を素早く検知し、自治体や住民に知らせるシステムの整備も進んでいます。
図は国土交通省の情報BOXイメージの例です。風向風速計、雨量計、地震計、監視カメラなどによって得られた情報を光ファイバー網を介して集中監視し、情報板やビーコンを通じて、通行中の車両に情報を伝えたりするものです。

(国土交通省四国地方整備局HPより引用)

Q34
災害が発生した時に社会基盤の復旧を効率的に行う工夫がありますか?


A34
被害状況の把握、被災者援助、対策・復旧の優先度判断、復旧資材の調達、運搬路の確保など復旧をスムーズに行うための行動計画を策定しています。
被害状況の監視機器設置、非常対応システム、通信網の構築、官民協力体制の充実などに力を注いでいます。
官民協力体制では、適切かつ円滑な災害対応活動を可能とするために必要となる建設機械等とその利用体制、官民の役割分担を明確することにより、災害対処・復旧支援のありかたについて政策提案を行うことを目的とし、平成18年に建設機械等による災害対処・復旧支援に関する懇談会が設置されました。

http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kensetsusekou/kondankai/saigaifukkyuu_kon/kondankai_index.htm

Q35
スーパー堤防による「まちづくり」は、既存の町は対象外ですか?


A35
スーパー堤防は、その上部で通常の土地利用が行えることを前提に盛土する事業であり、完成後は従来通りの土地利用ができるため、用地買収を行う必要がない事業です。市街化区域内であれば土地の交換分合とともに公共施設の整備、改善を行える土地区画整理事業としてまちづくりができます。
事業中は事業者が土地を借り上げ、事業が終わると返却されます。事業後に建て替えなどを行う場合は低利融資、税の特例措置などがあります。


((財)リバーフロント整備センターHPより引用)

Q36
スーパー堤防では後背湿地の上に盛土することになりますが、不同沈下や液状化などの危険はないですか?


A36
地盤改良などの軟弱地盤対策工を施した上で盛土を行いますので、不同沈下や液状化などの心配はありません。

Q37
アンカーは錆びないのですか?


A37
アンカーストランド、アンカーヘッドには、いろいろな錆防止対策が行われています。
・定着部ではストランドと地盤の間にグラウト剤を充填する。
・止水パッキンでアンカーヘッド部からの水の浸入を防ぐ。
・オイルが入ったキャップでアンカーヘッドを保護する。

更に防錆効果を高めるため、以下のような対策が行われることがあります。
・自由長部ではシースの外部だけではなく、シースの内部にもグラウト剤を注入する。
・メッキや樹脂で防錆加工したストランドを使用する。
・スライドシース付支圧板でアンカーヘッドからの水の浸入を防ぐ。

図は上記の防錆対策を施した永久アンカー工法の例です。


(SHS永久アンカー協会HPより引用)

Q38
土石流を捕捉するとはどういうことですか?


A38
土石流の土砂を砂防ダムに貯え、下流へ流出する土砂の量を少なくすることです。

Q39
土砂で埋まった砂防ダムは、もう役に立たないのですか?


A39
土砂が貯まると、川底の傾きが緩くなったり、川幅が広くなることで、水や土砂の流れが緩くなります。川底や山を削る力が弱くなるので、山崩れ(山腹崩壊)が起こりにくくなります。
大雨が降って、山腹が崩壊し、たくさんの土砂が流れてきた時、川底の傾きが緩くなったところに土砂が貯まります。
その後、貯まった土砂は川の流れで少しずつ流れて行き、また元の緩い傾きに戻ります。

http://www.cbr.mlit.go.jp/etsumi/study/kawatoro/pdf/honpen/11-12.pdf

Q40
「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、どのような組織で、いつ頃から始まったのですか?


A40
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)」は、人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織です。
IPCC は、議長、副議長、三つの作業部会及び温室効果ガス目録に関するタスクフォースにより構成されます(図)。それぞれの任務は以下の通りです。
第1 作業部会: 気候システム及び気候変化の自然科学的根拠についての評価
第2 作業部会: 気候変化に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変化がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変化への適応のオプションについての評価
第3 作業部会: 温室効果ガスの排出削減など気候変化の緩和のオプションについての評価
温室効果ガス目録に関するタスクフォース:温室効果ガスの国別排出目録作成手法の策定、普及および改定

(気象庁HPより引用)

Q41
新しい宅地開発が急傾斜地崩壊危険箇所数の増加の理由だそうですが、開発にあたって、条件や制限はないのですか? 


A41
急傾斜地崩壊危険箇所では、以下のような制限などがあります。
・分譲宅地、社会福祉施設等などの特定開発行為は許可制とする
・建築物が土砂災害に耐えるような構造に規制する
なお、既存の宅地について、特に危険な場合には、移転の勧告や支援が行われます。

Q42
急傾斜地崩壊危険個所数が平成14年に急に増えているのは理由がありますか?


A42
従来基準では、急傾斜地崩壊危険箇所は2.7万箇所増えています。
実際に、山麓、扇状地での新規宅地開発でも増加していますが、平成14年から調査精度の向上、危険箇所や被害想定区域の考え方の変更を行い、従来よりきめ細かい判断基準としたことも増加原因となっています。
ちなみに、人家5戸未満、将来見込みもカウントすると急傾斜地崩壊危険箇所は約3倍に増えます。

Q43
急傾斜地崩壊などの災害防止工事の費用は誰が負担するのですか?


A43
自治体の条例などによって費用負担が定められています。以下は神奈川県の場合です。

急傾斜地の保全や崩壊対策工事は土地の所有者等の皆様が自らの費用をもって行うことが大原則となっておりますが、工事には多大な費用と高度な技術力を必要とすることから、一定の要件を満たす場合、土地の所有者等の皆様に代わって県が工事を実施することができます。

【工事実施基準】
1. 自然斜面であること
2. 斜面の角度が30°以上
3. 斜面の高さが10m以上(県単独費においては過去に崩落履歴などある場合には5m以上)
4. 斜面の崩壊により危害が生ずるおそれのある人家(保全家屋)が10戸以上(県単独費においては5戸以上)
5. 斜面の所有者が工事に必要な土地を無償で貸与すること

Q44
ハザードマップはどこで手に入りますか?


A44
ハザードマップは各市町村で作成していますので、市役所、町村の役場、支所等で手に入れることができます。
ハザードマップは国土交通省のハザードマップポータルサイト「あなたの町のハザードマップを見る」(http://www1.gsi.go.jp/geowww/disapotal/)でも確認できます。

Q45
ハザードマップがない地域は危険がないということですか?


A45
ハザードマップ作成に優先順位があって、まだ作成されていないのかもしれません。優先順位が低いということは、相対的に危険性が小さいとも考えられますが、危険性がないとは言い切れません。豪雨や地震による地盤災害は、ハザードマップがない地域でも発生しています。

Q46
自主防災組織はどのようにつくるのですか?


A46
自治体が防災組織づくりを促進している場合、町内会・自治会など地域の住民が相談して防災組織を作る場合などがあります。
自主防災組織づくりに際して、自治体の防災担当、消防署などが指導してくれるはずです。
自主防災組織づくりには消防庁の「自主防災組織教育指導者用教本」などが参考になります。
http://www.fdma.go.jp/general/life/kyohon/index.html
また、消防団、水防団などへの参加も自主防災組織をつくるきっかけになります。

Q47
地盤工学の技術者は、専門家として、どのように共助に参加できますか?


A47
地盤工学の技術者は専門知識を生かして以下のような形で共助への参加が考えられます。
・自主防災組織の技術リーダー、防災行政への参画、援助、自主防災組織と行政との仲介
・防災勉強会の講師
・地域の状況を調べ、災害の想定
・災害発生防止、減災に関する技術指導
・防災計画策定
・避難経路、避難場所の安全性判断
・災害復旧の支援