Q1.α-Ti相はなぜ量子化磁束をピン留めできるのですか?

Q2.チョコラルスキー法とFZ法による単結晶の用途がLSI用と個別半導体と異なる理由は?

Q3.Dash法により、結晶引上げ速度はどれ位、向上したのですか?

Q4.スパイク現象の起こる機構は?

Q5.なぜ微粒の多孔質体を経由させるのでしょうか?

Q6.形状記憶合金にはどんな合金があるのでしょうか?

Q7.冷却すると元の形に戻る形状記憶合金はあるのでしょうか?

Q8.マルテンサイト状態で加えられた変形を元に戻すエネルギーはどこから供給されるのでしょうか?

Q9.実用形状記憶合金のヒステリシスはどれほどありますか?

Q10.記憶させた形状を消すにはどうすればよいのですか?

Q11.繰返し伸縮するバネに許される変形(伸び歪)量はどれ位ですか?

Q12.チタンの市場価格は?

Q13.TiO2の用途は?

Q14.チタンは酸素と反応しやすいのになぜ錆びにくいのですか?

Q15.なぜ真空溶解炉が必要なのですか?

Q16.α相で加工するとなぜ集合組織が発達しやすく、異方性が強くなりやすいのですか?

Q17.チタン合金は、なぜ焼入れても硬化しないのですか?

Q18.合金結晶への水素の入り方は?置換型、侵入型?

Q19.水素吸蔵合金の価格は?

Q20.なぜプラトができるのですか?

Q21.実用水素合金のヒステリシスはどれくらい?

Q22.どうして微粉化するのですか?

Q23.陶器と磁器の違いは?

Q24.アルミナは本当に透光性なのか?透光性を活かした身近な応用例は?

Q25.スパークプラグはどれくらいの環境で使用されているのでしょうか?

Q26.ファインセラミックスには、なぜ合成した原料を使用するのですか?

Q27.ファインセラミックスの焼成にはどのような炉が使用されるのでしょうか?

Q28.分散強化材の応用例は?

Q29.金属合せ材の製造方法は?

Q30.FRMにはどのような複合化方法が採られているのでしょうか?

Q31.何故、材料成形と製品成形を2工程に分けるのでしょうか?

Q32.なぜ射出成形にはペレットが使用されるのでしょうか?

Q33.【参考図書】 種々の新材料

Q34.【参考図書】 形状記憶合金

Q35.【参考図書】 チタンとチタン合金

Q36.【参考図書】 水素吸蔵合金

Q37.【参考図書】 ファインセラミックス

Q38.【参考図書】 複合材料


Q1
α-Ti相はなぜ量子化磁束をピン留めできるのですか?


A1
Nb-Ti合金の平衡状態図は、高温では全組成域にわたって体心立方晶のβ相を示しますが、低温では六方晶のα-Ti相とβ相の2相となります。超伝導を示すのはβ相であり、液体水素温度(4.2k)でα-Ti相は常伝導(遷移温度0.4k)です。

もっとも多く用いられているNb-46.5%Ti重量%の合金では、400℃付近まで単一のβ相です。Nb-46.5%Ti重量%合金を400℃以下で熱処理すると超伝導β相のマトリックス中に常伝導α-Ti相が微細に析出します。

量子化磁束が超伝導状態のNb-Ti合金に侵入するときは常伝導α-Ti相に優先的に入ります。量子化磁束は、超伝導状態を破壊して超伝導β相に侵入するよりも、すでに常伝導状態にあるα-Ti相に入ったほうがエネルギーが少なくて済むからです。侵入した量子化磁束に電磁力が働いても、このエネルギー差があるため、量子化磁束は超伝導β相に移動することができず、α-Ti相にピン留めされます。高磁場発生用の超伝導コイルに使用される超伝導材料は、ピン留め中心を微細にたくさん作る材料技術によって実現しました。超伝導Nb-Ti合金発見後、実用化に30年を要しました。

Q2
チョコラルスキー法とFZ法による単結晶の用途がLSI用と個別半導体と異なる理由は?


A2
半導体デバイスは動作原理によって、個別半導体(ディスクリートデバイス)、MOSおよびバイポーラLSIに大別できます。

FZ法で育成した結晶(FZ結晶)はシリコン以外の材料と接触しないので不純物が少ない。とくに酸素はCZ結晶より2桁少なく、坩堝の石英に含まれるアルミニウム、ボロンなどの不純物にも汚染されません。その他の金属不純物もCZ結晶が少なく、キャリアのライフタイムはCZ結晶より長い特徴を持っています。このため、高抵抗で耐圧の高いシリコンを製造することができます。FZ結晶は、比較的高い電圧で動作する個別半導体に使用されます。サイリスタや整流素子では、FZ結晶に金(Au)や白金(Pt)を拡散させ、キャリアのライフタイムを短くしてスイッチング速度を速める方法が採られます。理想的に均一な抵抗率分布が必要な用途には中性子照射ドープしたFZ結晶が高抵抗領域で使用されます。

CZ結晶には、坩堝の石英から、1×1018atoms/cm3の酸素が混入します。混入した酸素はデバイス製造プロセス中にシリコン酸化物として析出します。析出シリコン酸化物は、その周りに金属不純物が析出するので、不純物を吸収するゲッタリングセンターと働きます。CZ法は、FZ法より大径化が容易であり、生産性、歩留まりの点からMOS LSIにはCZ結晶が使われます。Si表面と酸化膜境界の表面電荷密度が低いことにより、CMOS用には<100>成長の結晶が選ばれます。

Q3
Dash法により、結晶引上げ速度はどれ位、向上したのですか?


A3
有転位結晶の、転位の不均一な分布はデバイス特性を害しますが、これは成長している結晶内の温度勾配の大きさや温度分布のむらに原因します。これを避けるには、成長界面の形を平坦に制御することが必要です。しかし、結晶の直径が大きくなったり、成長速度が大きくなったりすると、平坦に保つことは困難となります。

一方、Dash法により種結晶のしぼりの操作を入れると、CZ法、FZ法ともに無転位化します。一度無転位になると、温度勾配が大きくなり、成長界面の形が凸になっても容易に転位は発生しません。このため成長速度を増したり、結晶径を大きくしても無転位単結晶の製造が可能になります。

Dash法が発明された当時の2インチ有転位FZ結晶では、リネージ(転位列)による割れ発生のため結晶成長速さは1mm/分程度に制約されました。Dash法により、約10mm/分の高速無転位成長が可能となったといわれています。

Q4
スパイク現象の起こる機構は?


A4
重力の働かない液滴は表面張力により真球となります。液滴が磁性流体であり、これに磁界を作用させると、液滴は一様に磁化されます。一般に磁化の方向に細長い形状の方が反磁場係数は小さく磁化が容易です。換言すると、磁性流体の液滴は、真球のまま磁化するより、磁界方向に伸びた楕円体に変形した方が磁場のエネルギーUmag を小さくできます。楕円体の長軸/短軸比は、楕円体化することによるUmag の減少と表面エネルギーSγ の増加がバランスするところで決まります。

図(a)-(c)は、磁性流体を浅い容器に入れ、容器の底から垂直に磁界を作用させた場合の極端な条件下における磁性流体の形状を示しています。図(a)は重力が形状を支配している場合で、位置エネルギーVg が最小となる形状です。図(b)は磁気のエネルギーUmag 最小の条件が流体の形状を決定する場合で、磁性流体は磁界H方向に長い楕円体です。ただし、流体全体が一つの楕円体となるより複数個の楕円体に分かれた方が重心の位置エネルギーを小さくできるので複数個の楕円体となります。図(c)は表面エネルギーSγ 最小の条件が流体の形状を決める場合で、流体は一つの球となります。じっさいに実現する流体の形状は、

 U=Vg+Umag+Sγ

が最小となる形状であり、図(a)-(c)が重畳した、図(e)の形状です。球状に盛り上がった磁性流体の表面に複数の楕円体が突き出したスパイク形状となります。



Q5
なぜ微粒の多孔質体を経由させるのでしょうか?


A5
微粒子から透明ガラス体を作る方法は溶融法に比較して、
(1)  粒子の面積を増加させることによって、透明なガラスにするための焼結温度を下げることができる。
(2)  焼結時に、水分や遷移金属などの光吸収を生じる不純物の除去する化学反応を加速できる。
(3)  るつぼや耐火物などにまったくふれずにガラスを作製することができる。
(4)  気泡などの散乱体を含まないガラスを比較的容易につくることができる。
の利点があります。

(柴田修一:微粒子からつくる光ファイバガラス、セラミックス基礎講座 8、内田老鶴圃、1997)

Q6
形状記憶合金にはどんな合金があるのでしょうか?


A6
形状記憶合金の成分系とそのMs点の範囲および規則・不規則構造を表に示します。この他にも多くの合金系が研究開発されいます。ほとんどの形状記憶合金が規則構造を持っていることが分かる。TiNi系がもっとも実用化されています。


Q7
冷却すると元の形に戻る形状記憶合金はあるのでしょうか?


A7
合金に低温時の形状を記憶させることは不可能ではないが、実用化はされていません。低温時の復元力が弱く、信頼性にかける、コストが高いなどが理由として挙げられています。バイアスバネを利用して低温時の復元力を持たせる利用法が一般的です。

Q8
マルテンサイト状態で加えられた変形を元に戻すエネルギーはどこから供給されるのでしょうか?


A8
マルテンサイトで加えられた外形の変形を元に戻すエネルギーは、形状記憶合金をオーステナイトに加熱する熱エネルギーによって供給されます。一端を固定した形状記憶合金でできたバネに適当な錘を吊り下げた力学系を考えます。バネの温度が低下すると合金はマルテンサイト変態し錘の重さで伸び、錘は下がります。バネを加熱するとオーステナイトに逆変態し、バネは収縮して錘は上昇します。バネは錘を持ち上げる仕事をしたことになりますが力学系に加えられたエネルギーは逆変態を起こすための熱エネルギーのみです。つまり、形状記憶合金が元の形状に戻る際の仕事は熱エネルギーで供給されています。

Q9
実用形状記憶合金のヒステリシスはどれほどありますか?


A9
ほとんどの形状記憶合金の変態温度のヒステリシスは数℃から35℃の範囲にあります。TiNi合金のヒステリシスは30℃位で、CuZnAl合金は10℃前後です。

Q10
記憶させた形状を消すにはどうすればよいのですか?


A10
規則化状態で記憶させた形状を消去するには規則度パラメータがゼロとなる温度T以上の温度に加熱し、急冷して不規則構造とすればよいのです。

Q11
繰返し伸縮するバネに許される変形(伸び歪)量はどれ位ですか?


A11
メーカーによれば、「TiNi形状記憶合金は、変形の繰り返し回数が少ない用途であれば歪量7%以内は完全に戻るが、1万回以上の繰り返し変形使用であれば最大剪断歪を1%以内に抑える必要がある(素材や記憶処理などの条件により若干の変動がある)」とされています。

Q12
チタンの市場価格は?


A12
スポンジチタンの市況価格を鉄スクラップおよびアルミニウム、マグネシウム地金(再溶解原料)の市況価格と比較しました。市況価格は需給を反映して変動する価格ですが、スポンジチタンの市況価格は鉄スクラップの数10倍、アルミニウム、マグネシウム地金の約4倍程度です。チタンは高価な金属であり、価格に応じたメリットのある用途に使用する必要があります。参考として、チタンの還元に要するエネルギーを鉄、アルミニウム、マグネシウムの所要還元エネルギーと比較して示しました。所要還元エネルギーの高い金属ほど高価格であることが分かります。


Q13
TiO2の用途は?


A13
チタンスラグや合成ルチルはTiO2換算500万トン弱/年が生産されています。この内の80%は白色顔料の原料として使用され、金属還元に使用されるのは40万トン-50万トン/年と推定されます。その他、セラミック原料、触媒、鉄鋼用の溶接スラグ添加材としても利用されています。

Q14
チタンは酸素と反応しやすいのになぜ錆びにくいのですか?


A14
チタンは活性な金属で酸素に触れるとたちどころに酸化し、一旦、酸素と結合すると還元には大きなエネルギーを要します。しかし、表面にごく薄いチタンの酸化物皮膜ができると、この皮膜は安定で酸素や腐食性の酸や海水など、多種多様な腐食性の環境からチタンを保護します。この皮膜のことを不働態皮膜と呼びます。

チタンの不働態皮膜は他金属のそれに比べて特に強固で、多くの環境において高い耐食性を示します。とくに硝酸のような酸化性の酸に対してはきわめて高い耐食性を示します。塩化物イオン環境でも高い耐食性を維持することができ海水に対して高い耐食性を示します。

Q15
なぜ真空溶解炉が必要なのですか?


A15
チタンの融点は1668℃で鉄の融点よりも高く、溶解したチタンは窒素や酸素とも反応しやすい。このため、低圧の不活性ガス雰囲気中で溶解する必要があります。さらに、溶解したチタンはどんな耐火物とも反応する活性な金属です。このためチタンの溶解には耐火物ルツボではなく、水冷銅鋳型を使用する消耗電極式真空アーク溶解炉が使用されます。

Q16
α相で加工するとなぜ集合組織が発達しやすく、異方性が強くなりやすいのですか?


A16
チタンのα相は最密六方晶の結晶構造を持っています。最密六方晶のすべり面は、図のように、(a)底面、(b)柱面、(c)錐面であり、すべりの方向は矢印で示す<1120>方向です。つまり、矢印と直交する方向のすべりがありません。体心立方晶のβ相は対称性の高い体心立方晶ですべての結晶軸方向のすべり成分が等価です。このため、α相で加工すると、β相で加工するよりも加工する方向に特定の結晶方位が集積しやすく、集合組織が発達し、異方性が現れやすいのです。マグネシウムなど最密六方晶を持つ金属、合金に共通した特徴です。


Q17
チタン合金は、なぜ焼入れても硬化しないのですか?


A17
チタン合金にもマルテンサイト変態する合金系が知られています。しかし、生じるマルテンサイトが硬くない熱弾性マルテンサイト変態を示します。形状記憶合金で解説したように、マルテンサト変態することによってかえって変形しやすくなります。このため、強化を目的とした熱処理としてマルテンサイト変態は利用されません。

Q18
合金結晶への水素の入り方は?置換型、侵入型?


A18
侵入型
水素は遷移金属や希土類金属にかなり大量に固溶することができ、金属結晶格子の格子間位置を整然と占めて水素化物を形成します。
代表的な水素吸蔵合金であるLaNi5合金は六方晶の結晶構造をとります。図に示すように、水素は合金の結晶格子中の、2個のLa原子と4個のNi原子が作る八面体の中心位置と2個のLa原子と2個のNi原子が作る4面体の中心位置に侵入します。


Q19
水素吸蔵合金の価格は?


A19
3500円/kg−7000円/kg

上記の価格には、水素利用国際クリーンエネルギーシステム技術(WE-NET)などの開発プロジェクトの経済性評価や開発目標として掲げられている数値を示しました。

Q20
なぜプラトができるのですか?


A20
水素の圧力Pが温度Tで決まる一定の値に達すると、水素化反応が始まり、反応が終了するまで一定の圧力で合金の水素濃度が上昇するからです。
じっさいは水素化反応が始まると反応熱が生じるので温度が上昇します。温度が上昇すると平衡水素圧も上昇するため、より高い圧力を加えないと水素化反応は継続できません。このためプラトは少し右上がりとなります。P-C-T線図のプラトは反応熱を伝熱によって逃がすため、長時間かけて水素を吸蔵させた仮想的な図が描かれています。

Q21
実用水素合金のヒステリシスはどれくらい?


A21
水素吸収時の体積膨張により、合金には大きな内部応力が働きます。この応力を緩和するため塑性変形が起こります。この変形に伴うエネルギー消費が吸蔵・放出の水素圧力差:ヒステリシスの原因と考えられています。実用上は(吸蔵水素圧/放出水素圧)の自然対数値をヒステリシスファクターと呼んでいます。LaNi5合金のヒステリシスファクターは約0.35で、吸収圧力/放出圧力=1.4となります。同じLaNi5系の合金でも添加元素やLaのミッシュメタル代替により、ヒステリシスファクターは0.1から0.7付近まで分布しています。

Q22
どうして微粉化するのですか?


A22
ほとんどの水素吸蔵合金は水素の吸蔵・放出よる体積の膨張・収縮を繰り返します。たとえば、LaNi5合金は、水素が可能なすべての格子間位置に侵入するとLaNi5H6となり、格子の体積は23%膨張します。この膨張が合金に割れや粉化をもたらします。

Q23
陶器と磁器の違いは?


A23
陶器は主に珪酸とアルミニウムの混合物に少量の鉄などの金属成分を含む粘土を原料としています。これを1000-1300℃で焼成すると金属成分が酸化されて赤、灰色に変化して原料特有の色となります。

磁器は、鉄などの金属成分の少ない粘土に長石(主成分は石英:SiO2)を粉砕・混合して原料とします。金属成分が少ないので白く焼きあがります。当初、磁器の原料は天然のものに限られ、磁器の生産は原料産出地に限られました。もっとも有名なのは、磁器発祥の地、中国景徳鎮の高嶺山(カオリンザン)に産出する「カオリン」です。焼成時、長石の成分が溶融して緻密に焼き上がります。このため、磁器は素地に透光性があり、吸水性がありません。一方、陶器は素地に吸水性があって透光性はありません。

Q24
アルミナは本当に透光性なのでしょうか?透光性を活かした身近な応用例は?


A24
アルミナが透光性を持つというと不審に思う人も多いと思います。サファイアやルビーもアルミニウム酸化物ですから、アルミナが透光性であっても不思議はありません。実際に、ナトリウムランプの管球は透光性アルミナで作られています。ナトリウムランプは、管球材に高い耐熱性と透光性が要求されます。ナトリウムランプは透光性アルミナによって初めて可能となった省エネランプなのです。

Q25
スパークプラグはどれくらいの環境で使用されているのでしょうか?


A25
内燃機関が運転される場合の燃焼室内の雰囲気は、燃焼ガスによって最高約2500℃、50kgf/cm2程度の高温高圧となります。つぎの瞬間には常温常圧に近い混合気が吸入されて急冷されます。スパークプラグの発火部は燃焼室に露出しているので、このような加熱冷却の作用を繰返し受けます。スパーク先端の電極を取り囲むアルミナ絶縁体は、このような厳しい環境中で、材料自体の耐熱性、耐熱衝撃性、熱伝導度、轢械的強度、電気絶縁性および耐食性を維持できなければなりません。セラミックス材料にとっては、スパークプラグは最も厳しい用途の1つであるといえます。最近では設計の自由度を高めるため、さらに絶縁性や機械的強度を向上させた材料開発が求められています。

Q26
ファインセラミックスには、なぜ合成した原料を使用するのですか?


A26
各結晶物質が持っている物性に基づく機能・特性を最高に発揮させようとすると、まず結晶物質を高純化する必要があります。

ファインセラミックスには天然の原料ではなく合成原料が使用されます。合成原料を使用する第1の理由は高純化です。

第2の理由は均一なサイズの微粒の原料を粉体使用するためです。ファインセラミックスでは高純化するため、焼結を容易にするために添加される焼結助剤は使用できません。このため、高純な原料を使用するファインセラミックスの焼結は困難となる方向にあります。原料を微粒化し、比表面積を大きくして焼結を容易にするため、合成原料が使用されます。

Q27
ファインセラミックスの焼成にはどのような炉が使用されるのでしょうか?


A27
アルミナ系セラミックスの焼成に使用される焼結炉

(1)  常圧焼結炉:
アルミナは酸化雰囲気で使用されます。高純度アルミナは1600℃、ICパッケージなどのアルミナシートには1400-1500℃の電気炉が用いられます。

(2)  加圧焼結炉(ホットプレス(HP)法):
透光性セラミックスなど常圧焼結では焼結困難な製品に適用します。圧力は50-700kg/cm2、温度1000-21500℃。

(3)  HIP(熱間静水圧焼結):
1軸加圧では加圧が難しい形状の高純度アルミナセラミックスなどに適用されます。アルミナセラミックスの量産には一般的ではありません。

Q28
分散強化材の応用例は?


A28
分散強化材料は、マトリックスの中に微細粒子を分散させたもので、多くはそれらは酸化物系、炭化物系の粒子です。 マトリックスである金属の粉末に分散材の微粒子粉を混合させて、成形するのが一般的な製造方法です。マトリックスの中に後で熱処理等により酸化物系の微粒子を形成させる方法もあります。硬い微粒子を分散させることにより、材料が強化されると共に、セラミックス系の分散粒子は耐磨耗性および耐熱性にも優れていることから、耐熱性、耐摩耗性改善を改善することができます。

析出強化型合金とは異なり、かなりの高温域においても分散粒子の溶解や粒粗大化が起きないので、マトリックスの融点の約80%程度の高温まで強度を維持することができます。この特長を活かし、耐熱性・体磨耗性の必要な用途に使用されます。

Q29
金属合せ材の製造方法は?


A29
代表的な合せ材の製造方法を以下に紹介する。

(1)  複合鋳造法:
二種類以上の金属溶湯を時間差を設けたり、あるいは隔壁を置いて、別々に注ぎ込み、凝固させて一体の製品に仕上げます。この方法は、二種類以上の金属間に介在物、気泡等の欠陥が生じやすいし、金属溶湯を扱うためにハンドリングの問題から生産性が良くないなどの欠点があります。圧延ロールの製造に使用されています。

(2)  熱間圧延法:
この方法は、熱間圧延圧着法ともいいます。既設の圧延設備等を活用できるので、もっとも広く行われている方法です。所定の大きさに切断した合せ材素材の接合面を研磨し、研磨面を衝合して側面をシール溶接して加熱、熱間圧延します。母材を鉄鋼とし、オーステナイト系ステンレス鋼やチタンを合せ材とする厚板が化学装置材料として製造されています。

(3)  爆発圧接法:
爆着法ともいいますが、母材表面に少し角度をつけて間隙をあけて置いた合せ材の上に爆薬を置き、端から点火することで爆発のエネルギーによって、接着します。

(4)  肉盛溶接法:
帯状または棒状の溶接用金属を炭素鋼あるいは低合金鋼母材上に肉盛溶接し、そのまままたは必要に応じて圧延して合せ材とする方法です。耐磨耗ロールの製造、磨耗減肉したロールの補修等に使用されています。

Q30
FRMにはどのような複合化方法が採られているのでしょうか?


A30
FRMは、FRPの欠点である耐熱性を補う意味で期待されてきた新材料の一つです。FRMの製造方法にはいくつかの方法があります。

(1)  Metal Foil-filament Array法:
マトリックスの金属箔の上に繊維を並べそれを何層にも積み重ねたものを接合させる方法。

(2)  Matrix Coated-filament Array法:
マトリックスの金属でコーティングした強化繊維を並べて接合させる方法。

(3)  複合鋳造法:
マトリックスである液体金属の中に強化短繊維を混合させて固形化する方法。

(4)  連続鋳造法:
溶融金属の中に強化繊維の束を通すことによって、連続的にFRMの棒を製造する方法。

(5)  粉末冶金法:
CIP( Cold Iso-static Pressing )やHIP( Hot Iso-static Pressing ) などの粉末冶金法の技術を用いる方法。

などが研究開発されています。

Q31
何故、材料成形と製品成形を2工程に分けるのでしょうか?


A31
素材成型と製品成型に分けることにより、

(1)  トータルの生産性向上:繊維に樹脂を含浸させるには樹脂に高い流動性を持たせる必要がある。一方、製品成型には過度の流動性は成型の障害となる。したがって、流動性に対する要求の異なる工程を一つにすると、溶媒の蒸発など、工程内で流動性を調整する時間が必要となる。

(2)  成型した素材の運搬・貯蔵が可能になる。その間に、素材を製品成型に適した流動性、反応性に熟成させることができる。

(3)  1つの素材成型設備で複数の製品成型に対応できる。

などのメリットが期待できます。

Q32
なぜ射出成形にはペレットが使用されるのでしょうか?


A32
射出成形機は、2つの基本的な機構、射出機構と型締機構とからなっています(レッスンの図参照)。

原料となるペレットはホッパーから供給されます。供給されたペレットはスクリューの回転によって進行しながら圧縮され、ペレット間の空気が追い出されます。圧縮されたポリマーは、側壁からの伝熱とペレット流体のせん断による摩擦発熱によって溶融します。

樹脂は熱の不良導体であり、したがって、例えば粉末状の樹脂が熱板に接触すると、熱板に直接接触した粉末は直ちに溶融します。しかし、溶融したポリマーが被膜状となって熱板を覆うと、この被膜が熱伝導のさまたげとなり、熱板から離れた部分の粉末はなかなか溶融されません。原料としてペレット状に加工したポリマーを用いるのは、この現象をさけるためです。樹脂の溶融不良や気泡混入防止には、ペレットの形、大きさ、摩擦特性が重要となります。

(高久明、多田尚:複合材料をつくる、高分子学会編集、共立出版)

Q33
【参考図書】 種々の新材料


A33
「実用新素材技術便覧」監修 田中良平、編集 実用ニューマテリアル研究会、通産資料調査会、1996年.
21世紀における新素材の展望、重要な新素材、実用化の状況、新素材の設計・製造技術、機能別の分類、開発支援施策、など新素材に関する情報を総合的にまとめた便覧です。

これだけは知っておきたい新素材・新材料:ニューマテリアル研究会編、日刊工業新聞社、1998年4月
新素材界の動向、新しいコンセプトの紹介、金属系、高分子系、セラミック系、複合材料系各新素材の製造方法、特徴、競合材・選択、メーカー、用途などがまとめられています。

Q34
【参考図書】 形状記憶合金


A34
《形状記憶のメカニズム》
形状記憶合金:船久保煕康編、産業図書、1984年.

清水 謙一他:記憶と材料-入門形状記憶材料-、共立出版、1986年.
2編とも熱弾性マルテンサイト変態の結晶学や形状記憶の出現メカニズムが詳しく説明されています。結晶格子に関する予備知識が必要です。


《形状記憶合金の応用》
形状記憶合金とその使い方:大阪科学技術センター編、日刊工業新聞社、1986年.

形状記憶合金の応用と開発:本間 敏夫、清水 謙一、大塚 和弘、鈴木 雄一編、株式会社エス・ディ・シー、1986年
2編とも形状記憶合金の種類、特性を紹介し、使い方を幅広く紹介しています。

Q35
【参考図書】 チタンとチタン合金


A35
鈴木 敏之、森口 康夫:チタンのおはなし 改訂版-おはなし科学・技術シリーズ-、日本規格協会、2003年5月.
チタンおよびチタン合金のやさしい入門書です。版も新しく、チタンの原料から還元プロセス、合金とその特性、応用・用途が簡潔に解説されています。

矢島 悦次郎他:若い技術者のための機械・金属材料、丸善、2002年3月.
初版以来、金属材料の教科書として高い評価を得てきた旧版を、近年の材料科学の成果を踏まえて内容をより充実させた改訂です。状態図、鉄鋼材料、軽金属、銅を含んでいます。

小林 俊郎:材料強度学 材料の強度と靭性、アグネ技術センター、2000年11月.
破壊力学を始め、材料学と力学の融合という観点からまとめられた教科書です。金属・セラミックス・高分子の3大材料の強度・靭性が解説してあります。

Q36
【参考図書】 水素吸蔵合金


A36
大西 敬三:水素吸蔵合金のおはなし 改訂版、おはなし科学・技術シリーズ、日本規格協会、2003年 東京
水素吸蔵合金の優れた入門書、版も新しい。研究の歴史、各合金系の特長と短所、製造技術、応用・用途がわかりやすくまとめてあります。

大角 泰章:新版 水素吸蔵合金 −その物性と応用−、アグネ技術センター、1999年新版
水素吸蔵合金に関する総合的な技術解説書。各合金の特性に関するデータ、参考文献が豊富に付されています。

Q37
【参考図書】 ファインセラミックス


A37
「ファインセラミックスの製造技術」山本 博孝、尾崎 義治 監修、シーエムシー出版、2004年2月 東京.
セラミックスのファイン化技術に関する基礎論と原料・素材技術(微粒子化、多孔体化、単結晶技術)、焼成技術、接合技術とについて、実務者による詳しい解説があります。

塩川 二朗 著「無機材料入門」丸善 1996年3月.
高専、短大レベルを対象とする無機材料に関する入門書です。図表を多用した平易な記述で、専門書へ挑戦する前の、基礎学習に最適な教科書です。

柳田 博明:ファイン・セラミックス「魔法の陶磁」を科学する、講談社 ブルーバックス.
初めてセラミックスやファインセラミックスについて勉強する人を対象とする啓蒙的な解説書です。ファインセラミックスが将来性の高い研究分野であることが強調されています。

Q38
【参考図書】 複合材料


A38
D. ハル、T. W. クライン共著:複合材料入門 培風舘 2003年5月.
複合材料の標準的教科書として定評のある本の改訂版です。プラスチック系、金属系、セラミックス系複合材料の変形・破壊と界面に関する基礎的な事項から説き起し、複合材料の材料特性を解説しています。さらに、製造技術および熱的特性を解説し、応用に言及しています。

W. D. キャリスタ著/入戸野 修監訳:材料の科学と工学
セラミックス材料と高分子材料の構造と特性、製造技術および両者の複合材料について、豊富な図、写真を用いて丁寧に解説してあります。さらに材料の選択、環境問題も触れています。

松岡 信一:図解プラスチック成型加工、コロナ社、2002年5月.
複合材料に特化した本ではありませんがプラスチック材料の種類と特性、各種成型加工法、プラスチック基複合材料の成形と応用事例が紹介されています。プラスチックの流動性、状態変化と結晶化およびリサイクル技術などが多数の図表を用いて分かりやすく説明されています。