Q1. 環境利用の経済的規制について、具体的に実施されている例を教えて下さい。


Q2. 道路事業などで費用便益分析を行う際に、一般的に定型となるようなマニュアルはありませんか。


Q3. 支払意志額と受け取り意志額は、両方とも環境の貨幣価値を表したものですが、同じ環境を対象とした場合では、この2つの金額も同じになるのでしょうか。


Q4. 表明選好型評価と顕示選好型評価の違いについて教えて下さい。


Q5. フィージビリティ・スタディの結果を踏まえて実際に採算性が評価される際には、どのような手法がよく用いられるのでしょうか?


Q6. フィージビリティ・スタディを行う際の注意点としてどのようなものがありますか?


Q7. ネットワーク手法とは、どういったものですか?



Q1.
環境利用の経済的規制について、具体的に実施されている例を教えて下さい。



A1.
課税する方法としては、炭素燃料の使用時に課税する炭素税が最も知られています。日本では、現在のところ導入が検討されている段階ですが、オランダやスウェーデンでは既に導入されています。
また、補助金を与える方法としては、住宅用太陽熱発電システムを導入する際に自治体などが補助金を給付する例があります。
さらに、近年議論されている排出権取引の考え方なども、一種の経済的規制方法であると言えます。

Q2.
道路事業などで費用便益分析を行う際に、一般的に定型となるようなマニュアルはありませんか。


A2.
道路事業・街路事業などでは、国土交通省が示す「費用便益分析マニュアル(案)」があります。<http://www.mlit.go.jp/road/zaigen/hyoka/manuan.html>
ここでは、費用便益分析を行うための一般的なフローが紹介されており、便益の計算方法や、そのもとになる原単位が記載されています。
また、平成9年版建設白書では、有料道路事業の費用便益分析の実例が紹介されています。

Q3.
支払意志額と受け取り意志額は、両方とも環境の貨幣価値を表したものですが、同じ環境を対象とした場合では、この2つの金額も同じになるのでしょうか。


A3.
支払意志額も受け取り意志額も、環境の貨幣価値を表したものですが、一般的に同じ環境を対象としても、支払意志額より受け取り意志額の方が大きくなる傾向があります。これは、人々の心理として「あまりお金を支払たくないけれど、受け取る場合にはより多くのお金が欲しい」という意志が働いているのも一因です。
一方で、既存の環境が破壊されることに対して、心理的に大きな抵抗があるため、環境の悪化を想定した受け取り意志額の方が大きくなるという見方もあります。

Q4.
表明選好型評価と顕示選好型評価の違いについて教えて下さい。


A4.
表明選好型評価と顕示選好型評価の大きな違いは、人々の意見を直接的に聞き出しているかどうかという点です。
表明選好型評価は、アンケートなどでその環境施設に対する評価金額を聞き出しています。近年の主流は、表明選好型評価にシフトしてきていますが、これは「人々が意識的に経済的価値を決める」という経済的な合理性に基づく考え方によります。しかし、逆に言うと、人々の環境に対する偏った感情などの作為的操作によって、評価結果は大きく左右することになります。
その点、顕示選好型評価は、現実に人々が支出している金額をもとに評価を行います。ですから、結果の健全性が保たれる点が一番の魅力です。しかし、顕示選好型評価を行う際には、様々な制約が存在します。例えば、適当なサンプルが存在しない場合などが考えられます。

Q5.
フィージビリティ・スタディの結果を踏まえて実際に採算性が評価される際には、どのような手法がよく用いられるのでしょうか?


A5.
年間予想利益を設備投資額で割った利益率により評価することが多いと考えられます。

Q6.
フィージビリティ・スタディを行う際の注意点としてどのようなものがありますか?


A6.
フィージビリティ・スタディは仮説を用いて検討を行います。よって、仮説の設定によっては結果に大きな開きが出ることがあります。このため、あらかじめ複数の幅がある仮説を用意して検討を行うこともあります。また、本来フィージビリティ・スタディは、同様の仮説を用いて複数のプロジェクトや事業の検討を行い、優位を比較するために用いるべき手法です。しかし、実際には単独の事業の検討だけを行い、しかも一つの仮説だけを用いて行うことも多いため、事業が開始されてから問題が生じる場合もあるので、注意が必要です。

Q7.
ネットワーク手法とは、どういったものですか?


A7.
ある仕事の働きを説明するために、線と結合点で描いた関係をネットワークとして捉えます。これを工程計画に応用すれば、ある仕事を完成させるための各作業間の総合関係を結びつけた手順計画図となります。この手法の特徴として、複雑な作業の流れでもネットワークとして表示すると全体がよくわかる点が挙げられます。