Q1. 「労働安全衛生法」は1972年に制定されていますが、その後どのような改正がなされているのでしょうか?


Q2. 「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」と「OHSAS18001」は矛盾しないと言いますが、どのような点が共通しているのでしょうか?


Q3. 通勤途上に交通事故などに巻き込まれて負傷した場合、労働災害となるのでしょうか?


Q4. 職業病の認定はどのようになされるのでしょうか?




Q1.
「労働安全衛生法」は1972年に制定されていますが、その後どのような改正がなされているのでしょうか?


A1.
労働安全衛生法は1972年(昭和47年)に制定されていますが、その後、1975年(昭和50年)5月を始めとして、2001年(平成13年)12月までに19回の改正がされています。従って、時代と共に各種の改正がされていることが伺えます。主な改正としては、昭和52年の「化学物質の有害性調査」や平成8年の「産業医制度ならびに健康診断」の項があります。

Q2.
「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」と「OHSAS18001」は矛盾しないと言いますが、どのような点が共通しているのでしょうか?


A2.
「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」と「OHSAS18001」は前者が旧労働省による指針であるのに対して、後者は国際コンソーシアムによる規格という違いがありますが、どちらも労働安全衛生に関する管理システムを対象にしたものです。さらにどちらも、継続的な改善を前提としており、いわゆるPDCAサイクルに則ったマネジメントを行うことが前提になっています。
PDCAの中身においても、方針の策定、体制作り、実施、見直し、監査など、個々の活動要素も共通性が高いと言えます。

Q3.
通勤途上に交通事故などに巻き込まれて負傷した場合、労働災害となるのでしょうか?


A3.
通勤途上で事故等に巻き込まれた場合は、二つの場合が想定されます。一つ目は「明らかに通勤途上で業務を行っており事故に遭った場合や、自宅から直接顧客先に出勤するような外勤と通勤の区別が困難な場合」です。このような場合に相当するときは、通常の労働災害と認定されて、各種の補償(労災保険による補償、休業補償など)が受けられます。
二つ目の場合は、「上記のような状況に相当しない場合」です。この場合は、労働者災害補償保険法により労働者が、(1)「就業に関し」、(2)「住居と就業の場所との間を」、(3)「合理的な経路および方法により往復」していたと認定されれば、保護通勤災害として労災保険の給付が受けられます。
もっとも、保護通勤災害の場合には、業務上通勤災害の場合と異なり、解雇制限などの労働基準法上の労働災害に関する規定は適用されません。そのため、休業補償は4日目からしか支給されず、長期間休業すると解雇になるおそれがあります。従って、後者は純粋な労働災害とは言えません。
尚、もしも通勤経路を外れたり、通勤の途中で通勤をいったん中断して通勤と関係ない行為(例えば居酒屋での飲酒等)をした場合には、労働災害と認められませんので注意が必要です。

Q4.
職業病の認定はどのようになされるのでしょうか?


A4.
まず、職業病については厚生労働省が基準となる各種の認定基準を策定して省令として施行しています。この認定基準の策定は労働基準局が中心になって行っています。職業病として認定されれば、労働基準法第75条以下に定められる通り、業務上の傷病について、使用者が補償の責任を負担することを義務づけられていますので、各種の補償を受けることが可能です。
さて、職業病としてこの認定基準に適合しうると考えられる場合は、職業病認定の申請および補償請求は、労働者が労働基準監督署長を相手に行うことになります。この際、療養の補償給付について「事業主の証明」が必要になります。また、各種の疾病については医師の証明も必要な場合があります。一般の医療機関や地域にある安全センター等の信頼のおける医師において診察を受け診断書を発行してもらうことになります。
請求手続きおよび対象は労働基準監督署長ですが、実務的には、労災指定病院等に提出し、そこを経由してその地域の労働基準監督署長に提出されます。