Q1.化学工場の配管ではどのような物質を流しているのですか?
Q2.バルブの無理締めとは具体的にどのような作業を実施することですか?
Q3.配管の日常点検では、どの個所をどのように点検しているのですか?
Q4.人が両手でバルブを締める時のトルク(力)は、どの程度ですか?
Q5.なぜ、バルブは漏れると認識しなければならないのですか?
Q6.ポンプ異常の代表例としては何がありますか?
Q7.ポンプ運転に対して最も悪影響のある運転状態はどのようなものがありますか?
Q8.ポンプの締切運転を防止するためにはどの程度の流量が必要なのですか?
Q9.ポンプの日常点検ではどのような点検を実施するのですか?
Q10.軸封部における、メカニカルシールタイプとグランドタイプは何を基準に選定するのですか?
Q11.化学工場における運転管理として具体的に何を行っているのですか?
Q12.ヒューマンファクターとヒューマンエラーの違いは何でしょうか?
Q13.ヒューマンファクターに起因する事故防止の対策として、どのようなものがありますか?
Q14.文書化した作業規程がなぜ、必要なのですか?
Q15.機器の日常点検で重要な管理項目としては何があるのでしょうか?
Q16.化学プラントでは、回転機器,静止機器以外にどのような機器がありますか?
Q17.熱交換器のトラブルとして、汚れによる伝熱量の低下や腐食,エロージョンによる損傷の他にどんなトラブルがありますか?
Q18.エロージョンと磨耗の違いは何ですか?
Q19.還流の役割は何ですか?
Q20.蒸留塔に発生する異常現象には、どんなものがありますか?
Q21.浮屋根式貯槽は、どんな目的でどのような液体の貯蔵に用いられるのですか?
Q22.参考文献はありますか?
Q23.なぜ、操作時、スタート、ストップ時にバルブの開閉堅さを点検する必要があるのですか?
Q1
化学工場の配管ではどのような物質を流しているのですか?
A1
目的とする製品を製造するために必要な原料、溶剤、触媒、製造途中で発生する中間体、最終製品だけではなく、これらを製造するために用いる冷却水、熱媒、窒素、計装機器類を作動させる空気といった用役などを輸送します。
Q2
バルブの無理締めとは具体的にどのような作業を実施することですか?
A2
バルブの閉止操作で漏れが止まらない時、規程サイズ以上のハンドル回し、或いはハンドル回しにパイプなどを接続して、過大な力でバルブを閉止する作業を無理締めといいます。3インチサイズ程度の正常なバルブでは人の力で十分な閉止トルクに達し、閉止することが可能です。日頃、手で操作できるバルブの開閉が堅くなった時にはバルブに何らかの異常が発生したと考え、点検処置が必要です。
Q3
配管の日常点検では、どの個所をどのように点検しているのですか?
A3
配管に関わる異常の多くは漏洩トラブルであり、これは管内流体による内部腐食、雨水などによる外面腐食により発生する配管損傷による漏洩、継手(フランジ)部の締付け不良などによるフランジ部からの漏洩があります。日常点検としては目視による外面腐食の有無、フランジ部の漏洩の有無を確認します。内部腐食については、目視では確認できないため、定期的な肉厚検査等により異常の有無を確認します。
Q4
人が両手でバルブを締める時のトルク(力)は、どの程度ですか?
A4
直径19cm(2インチサイズ)ハンドル車での人による両手締めトルクの測定実験では、そのトルクは最大950kg-cm、最小450kg-cm、平均670kg-cmであり、平均値の670kg-cmのトルクは、2インチサイズのバルブの制限トルクを超え、人の力で十分に閉止可能であることが確認されています。一般に正常なバルブであれば、3インチサイズ程度までは、人の力は十分な閉止トルクであり、ハンドル回しなどの治具が不要であることを認識しておく必要があります。
Q5
なぜ、バルブは漏れると認識しなければならないのですか?
A5
新しいバルブは正常に漏れを止めることができますが、開閉作業に伴い弁体や弁座といった内部部品の磨耗、傷などで、内部で漏れが発生するケースがあるので、バルブは漏れる可能性があることを認識しなければなりません。
Q6
ポンプ異常の代表例としては何がありますか?
A6
代表例としては、軸受部の潤滑不良により発生する異常があります。潤滑を担う潤滑油の量が少ない、或いは劣化により、十分な潤滑を保てないために、摩擦増加による発熱、振動が発生します。また、軸封部のメカニカルシール、グラントシール部の不良による漏洩、発熱、ポンプを据付ける基礎部の異常、ポンプに接続されている配管系の異常による振動などがあります。
Q7
ポンプ運転に対して最も悪影響のある運転状態はどのようなものがありますか?
A7
代表例として、「キャビテーション」が挙げられます。キャビテーションとは「ポンプ吸込側の圧力が局部的に低下して液体の蒸気や含有気体を含む気泡が発生し、ポンプ内部で空洞部が発生する現象」をいいます。これが生じると、ポンプによる流体移送が不能になり、発生した気泡が消滅したり、収縮する時の激しい衝撃でポンプ内部を侵食する現象が起こることがあります。これをキャビテーション・エロージョンといいポンプに致命的な悪影響を与えます。キャビテーションを防止するためには、吸込側の抵抗をできるだけ少なくするか、吸込み側の圧力を流れる流体の飽和蒸気圧より高く保つことが必要です。
Q8
ポンプの締切運転を防止するためにはどの程度の流量が必要なのですか?
A8
そのポンプの最大流量の10〜15%です。これ以下では、締切運転状態と同様に、発熱や焼き付きなどの、異常現象を起こす恐れがあります。
運転上の理由でポンプを小流量で運転しなければならない時のために設けられている循環ラインをミニマムフローラインと呼びます。
Q9
ポンプの日常点検ではどのような点検を実施するのですか?
A9
ポンプの主要な日常点検として、潤滑管理、振動管理、漏洩管理を挙げることができます。潤滑管理では潤滑油量の適正なこと、潤滑油の漏れがないことを点検します。振動管理では触手により振動の有無を確認し、異常な振動を確認した場合には軸受部、駆動モーターの異常、ポンプを据え付ける基礎部の異常、配管サポート等の接続配管の異常の有無を確認する。漏洩管理ではポンプ漏洩の原因は主に軸封部であることから、軸封部分からの漏洩有無を点検します。
Q10
軸封部における、メカニカルシールタイプとグランドタイプは何を基準に選定するのですか?
A10
取扱物質の漏れの許容度により選定します。メカニカルシールは、ほぼ完全に漏れを防止することが可能であるので、取扱い物資の「漏れ」が許容されない場合にはこれを選定します。しかしながら、グランドタイプと比較すると、高価であり、保全、補修時の費用、期間も必要となります。グランドタイプは安価であることからも、水などの非可燃性液体を取扱うポンプの多くに選定されます。
Q11
化学工場における運転管理として具体的に何を行っているのですか?
A11
運転管理とは工場の安全、安定運転の阻害要因である、人の誤操作、設備の誤作動を引き起こす要因を排除することを目的に実施している様々な活動です。その活動としては、誤操作防止を目的とする作業規程の作成、教育、現場への表示、標識の掲示、設備教育等があります。また、設備の誤作動防止としては、機器、配管類を対象とする漏えい管理、振動管理、潤滑管理を視点とした日常点検等があります。
Q12
ヒューマンファクターとヒューマンエラーの違いは何でしょうか?
A12
ヒューマンエラーとは、人間であるがゆえにやってしまうミスをいい、必ずしも人間側の問題でない場合にも「間違っている」「悪い」との意味合いから人間側に問題があるような印象を与えます。しかしながら、人間が注意しても回避できない事故もあり、人的要因に起因する事故を防止するためにも、人、人間関係、ソフト、ハード、環境、管理といったヒューマンファクターという概念で原因を究明し、各要素の関係の最適化をシステム設計的に考慮する考え方を取るようになっています。
Q13
ヒューマンファクターに起因する事故防止の対策として、どのようなものがありますか?
A13
誤操作が原因で発生した事故の場合、従来の対策では「本人の注意を喚起する」といった内容となるケースがありますが、ヒューマンファクターの面からは、その作業に対する「教育」「運転規定」の不備、「設備の安全対策」の不備、これらを管理、実施すべき組織の「安全管理体制」の不備等といった要因、及びその対策にまで言及できることとになり、これらの対策を施すことによって事故、災害の発生をゼロに近づけることができると考えられます。
Q14
文書化した作業規程がなぜ、必要なのですか?
A14
作業方法が口頭指示、口頭で伝承された場合には、誤解、誤操作、誤判断、運転員によっては作業方法が不統一、非効率的に実施されるといった問題が発生します。作業規程の文書化は誤解、誤操作による運転トラブルの防止、文書化の過程での最良な作業方法への統一、技術的背景、設計思想の継承等を行うために必要とされます。
Q15
機器の日常点検で重要な管理項目としては何があるのでしょうか?
A15
機器の日常点検の目的は、運転員の日常的な点検により機器の異常を早期に発見、対処し、運転トラブルの発生、拡大を防止することです。その点検は目視、触手といった五感を活用し、機器本体、配管類等からの流体の漏えい管理、ポンプ等の回転機器の振動管理、潤滑管理をその管理ポイントとして実施します。
Q16
化学プラントでは、回転機器,静止機器以外にどのような機器がありますか?
A16
バルブ,配管,計装設備,電気設備等があります。広義で静止機器の中にこれらも含める場合もありますが、通常は区分して呼ばれます。
Q17
熱交換器のトラブルとして、汚れによる伝熱量の低下や腐食,エロージョンによる損傷の他にどんなトラブルがありますか?
A17
本体のフランジ等から内部流体が外部に漏洩するトラブルが多く発生しています。その原因の多くはボルト、ナットの締結管理の不備、急激な温度変化等があります。
Q18
エロージョンと磨耗の違いは何ですか?
A18
エロージョンとは、固体と接する流体(気相,液層)が関与する損傷で、流体そのもの、あるいは流体に含まれる気泡、固体粒子、液滴などが固体表面にある角度で衝突することによって生じる脱離や破壊現象をいいます。磨耗は固体同士が角度をもたずに相対運動する点が、エロージョンとは本質的に異なっています。
Q19
還流の役割は何ですか?
A19
蒸留塔の塔頂からの蒸気を凝縮した凝縮液に一部を還流液として蒸留塔の塔頂に戻すことにより、各トレイにおいて下段から昇ってくる蒸気中の高沸点成分をたたき落とすことが行われます。還流量を多くするほど、留出液の低沸点成分の濃度は高くなり、凝縮液を全部還流させる全還流とすれば、分離の効率は最も高くなりますが、この場合凝縮液は得られません。
Q20
蒸留塔に発生する異常現象には、どんなものがありますか?
A20
エントレインメント,フラッディング,ウィーピング(以上、用語集解説)の他に、蒸気量が多く、還流が少ない場合に、ガスがトレイ間を吹き抜けるブローイングなどがあります。
Q21
浮屋根式貯槽は、どんな目的でどのような液体の貯蔵に用いられるのですか?
A21
浮屋根式では、屋根部分が液体表面に密着しているため、蒸発による損失が少なくリます。従って、揮発性が大きな原油やガソリンなどの貯槽に用いられます。
Q22
参考文献はありますか?
A22
失敗知識データベース(http://shippai.jst.go.jp)が参考になります。
Q23
なぜ、操作時、スタート、ストップ時にバルブの開閉堅さを点検する必要があるのですか?
A23
バルブは熱、重合する内容物などにより弁棒、弁体が固着することがあります。従って、日常、スタート時の操作の際には、バルブの開閉堅さを点検し、異常のないことを確認した後に開閉操作する必要があります。開閉が異常に堅い場合、無理に操作すればバルブ内部の損傷、バルブ破壊により大きなトラルブに発展する可能性があるので、必要な処置を施した後の詳細な点検、補修を実施する必要があります。また、スタート前には操作するバルブの開閉堅さを事前に点検することで、異常の有無を確認し、スタート時のトラブルを防止する必要があります。
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