■太陽エネルギー■

Q1.太陽電池だけで日本の電力はまかなえますか?

Q2.太陽光発電の効率はどこまでよくなるのですか?

Q3.住宅用太陽光発電を設置すると何年で回収できますか?

Q4.太陽熱や発電した電気をためておくことは出来ますか?

Q5.サンベルト開発の可能性はありますか?

■風力■

Q6.なぜ垂直軸風車は小型ばかりなのですか?

Q7.風車の羽根はなぜ3枚なのですか?

Q8.風車の出力変動を抑える工夫はありますか?

Q9.台風が来ても大丈夫ですか?

Q10.風車から騒音は出ていますか?

■小水力、地熱■

Q11.一般の水力発電と小水力発電は、どのように区分されるのですか?

Q12.水力発電に関連する水利権とはどのようなものですか?

Q13.電力固定価格買取り制度とはどのような制度ですか?

Q14.蒸気式発電とバイナリー発電の納入割合はどれくらいですか?

Q15.温泉と地熱は同じものですか?

Q16.蒸気タービンにはどのような材料が使われていますか?

Q17.低温の地熱資源からはバイナリー式以外に発電することができますか?

■バイオマス■

Q18.エネルギーに使わなければバイオマスと言わないのですか?

Q19.利用可能量と賦存量はどう違うのですか?

Q20.バイオマスはすべて二酸化炭素の排出を削減するのに役に立つのですか?

Q21.バイオマスを使えば、エネルギー問題は解決するのですか?

Q22.どんなバイオマスでも燃やせますか?

Q23.バイオマス発電の効率はどの程度ですか?

Q24.バイオマスは熱利用と電気利用のどちらがよいのですか?

Q25.草や木からエタノールが作れるって本当ですか?

Q26.エタノール発酵で使う微生物は酵母ですが、メタン発酵では何という微生物を使うのですか?

Q27.エタノールを作るのに使う酵母と、パンを作るのに使う酵母は同じですか?

■余剰熱利用■

Q28.化学反応熱は潜熱、顕熱にくらべ何故大きいのですか?

Q29.熱輸送事例はありますか?またその熱の使い道を教えてください

Q30.エアコンによる暖房とストーブによる暖房の熱エネルギー的な違いは何でしょうか?

Q31.燃料改質とは何でしょうか?

Q32.余剰熱利用の課題は何ですか?

■分散型電源と革新技術■

Q33.新たな新エネルギーの定義を教えて下さい

Q34.分散型電源にするとどのようなメリットがありますか?

Q35.エネルギー効率が飛躍的に向上した技術はどのようなものがありますか?

Q36.水素を作って発電する場合、エネルギー収支はとれるのでしょうか?

Q37.水素社会の問題点とはどのようなものですか?

Q38.将来の自動車燃料はどのようなものがありますか?


■太陽エネルギー■
Q1
太陽電池だけで日本の電力はまかなえますか?


A1
PV2030の目標である100GW程度設置しますと、国内で使用している電力の約10%をまかなえます。また、休耕田などを含めた物理的な潜在量では8000GWという数字もあり、全てまかなえる可能性もあります。ただし、夜間は発電しませんので電力を貯蔵したり、太陽が出ている他国から輸入などの方法が必要です。
PV2030:NEDO「2030年に向けた太陽光発電ロードマップ見直し検討委員会」

Q2
太陽光発電の効率はどこまでよくなるのですか?


A2
PV2030では2030年に40%以上の効率の太陽電池が利用できるよう研究開発を進めています。実際に研究レベルでは40%を超え、量子ドット用いた技術では70%とも80%とも言われています。

Q3
住宅用太陽光発電を設置すると何年で回収できますか?


A3
平成23年度は、住宅用に設置された太陽光発電システムからの電力は、42円/kWhで売電できます。太陽光発電システムの価格にもよりますが、既築の住宅での標準的な太陽光発電システムの価格を225万円とすると15年、新築の住宅での価格を185万円とすると約10年で回収できます。

Q4
太陽熱や発電した電気をためておくことは出来ますか?


A4
どちらもためておくことは出来ます。太陽熱は、水式の場合は貯湯槽に、空気式の場合は地中のコンクリートなどで蓄熱できます。大型の太陽熱発電の場合は水よりも沸点が高い溶融塩などに蓄熱して夜間も発電できます。また、太陽光発電の場合は高価ですが蓄電池を設置することでためることができます。また、電気自動車も蓄電池をもっていますのでこの蓄電池を利用するスマートグリッドなどの研究も進められています。

Q5
サンベルト開発の可能性はありますか?


A5
大型の太陽熱発電、太陽光発電どちらも価格低下が進んでおり、また化石資源の価格上昇から、日射量の多い砂漠地域で発電して都市部へ送電する研究が進められています。欧州、北アフリカでは電力の授受のためにすでに送電線が引かれていることもあり、早い時期に実現されると考えられます。

■風力■
Q6
なぜ垂直軸風車は小型ばかりなのですか?


A6

垂直軸風車には、風向きによらないので方向制御が不要であり、発電機を地上部に設置できるので点検や修理が容易という利点があります。
しかし垂直軸風車は速度比を余り大きく取れないので羽根の揚力を十分に引き出せないため、性能の面で水平軸プロペラ風車に及びません。
自力起動が難しい、ピッチ制御機構の組込みが難しい、という課題もあります。
さらに、大型化すると、回転軸を片持梁として地上で支えるのが難しくなり、振動等の問題が顕在化します。
このため、垂直軸風車の活用は、現在のところは小型風車に限られています。

出典:風力エネルギーの基礎、牛山泉著、オーム社

 

 

Q7
風車の羽根はなぜ3枚なのですか?


A7
発電用の大型風車の翼枚数は、経済性、性能、強度、騒音などのバランスから、1980年代に3枚が最適という結論になっています。 経済性と性能の観点では、細くて枚数が少ない翼を高速回転する方がよいです。しかし強度と騒音の制約から、翼枚数の下限(3枚)と回転速度の上限(約80m/s)が定まります。過去にこの制約に挑戦して、1枚翼・2枚翼の風車が試作されたことはありますが、商用風車としては大成しませんでした。洋上風力発電は騒音の制約が少ないですので、2枚翼(ツィータードハブ)で高速回転する構想も検討されていますが、まだ実用化には至っていません。 また、発電以外の用途(例:給水ポンプ駆動)では、風車効率より、トルクの大きさと耐久性(過速度が生じ難い)を重視して、多翼でソリデティの大きい風車が使われることがあります。西部劇に出てくる井戸の水汲み用の風車がその例です。

Q8
風車の出力変動を抑える工夫はありますか?


A8
風車の出力は風の強弱に応じて増減します。これが送電網に悪い影響を与えないように、さまざまな工夫が行われています。
まず風車自体の改良があります。最近の風車は可変速運転を採用しており、短周期の風の強弱をロータの回転速度の増減で吸収平準化してから発電していますので、突風が吹いても出力が突変することはありません。また、風車の台数を増やしたり、広い範囲の風力発電をまとめて管理しますと、個々の風車の出力変化が相殺されて、変動量を減らすことができます。また、電力需要が少ない深夜等で電気が余ってしまう場合には、送電網を管理している電力会社からの指令に従って自動的に風車を止める(解列する)技術も実用化されています。
さらに風車と大容量の蓄電池を組合せることで、風が強い時に電気を蓄えて弱い時に放電で補うことで、長時間にわたって出力変動を平準化する技術も実用化されています。蓄電池の代わりに、水力発電や揚水発電を活用すれば、より大規模に平準化を図ることができます。実際に欧州では、英国やドイツとスウェーデンを海底送電線で結んで、北海とバルト海の洋上風力発電の出力変動をスカンジナビア半島の豊富な水力発電で補填する Super Grid 計画が進められています。
2011年に風力発電が年間電力需要の16%を占めたスペインでは、コンピュータによる気象予測に基づいて翌日の国内の風力発電の発電量を予想し、それに合わせて負荷調整用の火力発電所をスタンバイさせる工夫が行われています。

Q9
台風が来ても大丈夫ですか?


A9
風車にとって台風は大敵のひとつです。実際にインドでは1997年の台風によって、一度に129台の風車が壊れた例や、日本でも2003年9月に沖縄の宮古島を大型台風が直撃して、瞬間風速80mを超える強風によって島内の台の風車が全滅したことがあります。こうした過去の経験に学んで、最近の風車は強度と安全性が上がってきています。
典型的な最近の大型風車は、台風が接近してきて、風速25m/sを超える強風(人が立っていられない位)になると、風車は自動的に運転を止めます(カットアウト)。この時の風車は、正面を風上に向けて(ヨー制御)、風車のブレードの傾きは風と平行になるようにして(フェザーリング)、風を素通りさせます。ロータはブレーキをかけずに空回りするようにして(遊転)、台風の暴風が来ても、風の力を「柳に風」と受け流して風車を守るようになっています。
さらにNEDOの「日本型風力発電のガイドライン」策定事業で組織的な調査研究が行われ、
・建設先の最大風速を適切に算出して、それに耐える強度を持つ風車機種を選ぶ。
・ヨー制御が確実に維持できるように、風向風速計を強化したり、万一の停電時のバックアップ機能を用意する。
などの対策を施すことで、今では深刻な被害は予防できるようになっています。

Q10
風車から騒音は出ていますか?


A10
風車は大きな回転機械なので、羽根が高速で回転する際の風切音、ロータと発電機の間の歯車装置(増速機)の機械音、通風ファンやモータの駆動音、などが発生します。
騒音被害を出さないために、風車を建てる前に適切な環境アセスメントが行われています。音は音源(発生源)からの距離の2乗に反比例して小さくなるので、人の居住する施設から風車を十分に離すようにしています。
また、最近の風車では、羽根の形状を工夫したり、増速機を防振ゴムを介して支えたり、ナセル内部に吸音材を取り付ける、などの改良が施されています。

■小水力、地熱■
Q11
一般の水力発電と小水力発電は、どのように区分されるのですか?


A11

水力発電は、各国で出力別に区分されています(下記表参照)。日本では、一般的に10万kW以上を大水力、1万〜10万kWを中水力に区分します。また、5万kW以下あるいは3万kW以下を中小水力に区分します。中小水力のうちの1万kW以下を小水力(Small Hydro-power)と呼ぶことが多いようです。さらに、1,000kW以下の水力は、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」という法律で、普及に支援が必要なエネルギーとして、「新エネルギー」に区分されています。このため、1,000kW以下の水力を、小水力と呼ぶ場合もあります。また、一般的に1,000〜100kWをミニ水力、100kW以下をマイクロ水力と呼びます。

各国の小水力の分類
 
出力(kW)
フランス 8,000以下 500〜2,000 500未満
マレーシア 5,000以下 25〜500 25未満
ベトナム 5,000以下 50〜500 50未満
タイ 15,000以下 200〜6,000 200未満
ギリシャ 15,000以下 100〜1,000 100未満
ペルー 5,000以下 50〜500 50未満
UNIDO*1 10,000以下 〜1,000 100未満
ESHA*2 10,000以下 - -

UNIDO: United Nations Industrial Development Organization
ESHA: European Small Hydropower Association 

Q12
水力発電に関連する水利権とはどのようなものですか?


A12
水利権とは、河川法が規定する公法上の権利で、河川の流水、湖沼の水、かんがい、水力発電などを排他的に取水し、利用することができる権利です。河川法第23 条では、河川の流水を占用しようとする者は河川管理者の許可を受けなければならないとされ、この許可のことを一般には「水利権」と呼んでいます。ただし、河川法成立以前に、一定の者が一定の流水使用(取水ないし利水)を反復継続し、その慣行が社会的に認知されているような場合は、慣行水利権として水利用の権利が認められています。
水を発電に使用する場合は、発電規模に係わらず特定水利使用となり、河川法に基づく「水利権」の許可が必要となります。水利使用の処分権者は、河川区分によって決められています。小水力発電において「水利権」の内容となる事項は、一般的に目的、占用の場所、占用の方法、占用の量、水力発電ための落差、水の貯留量(貯水池の水位)、許可期間などです。

Q13
電力固定価格買取り制度とはどのような制度ですか?


A13
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」により定められている制度で、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるものです。2012年7月1日から施行されます。

Q14
蒸気式発電とバイナリー発電の納入割合はどれくらいですか?


A14
2010年時点における全世界の容量ベースで蒸気式発電89%、バイナリー発電11%、設備数ベースでは蒸気式発電56%、バイナリー発電44%です。

Q15
温泉と地熱は同じものですか?


A15
温泉も地熱も地下の熱せられた水を利用するという原理的な観点では同じものです。ただし、温泉は一般的に地下の比較的浅いところ(地下数100m程度まで)から、地熱は比較的深いところ(1,000m以深)から取り出します。取り出す深さが異なることから温泉と地熱は関連ないように思われますが、地下構造によっては関連することも考えられるので、地熱開発に当たっては温泉に影響のないことを注意深く調査することが非常に重要です。

Q16
蒸気タービンにはどのような材料が使われていますか?


A16
蒸気タービンの翼材には、13%Cr鋼、16%Cr-4%Ni鋼やチタン合金(Ti-6Al-4V)、ロータ材 には、1%Cr-MoNiV鋼や2%Cr-MoNiWV鋼が使われています。

Q17
低温の地熱資源からはバイナリー式以外に発電することができますか?


A17
低温であっても100℃より温度が高ければ温泉蒸気が噴出する場合もあり、その場合は背圧式の蒸気タービンを利用した発電が可能です。
また、バイナリー式のほかにも熱電素子を利用した発電方式も研究が行われています。

■バイオマス■
Q18
エネルギーに使わなければバイオマスと言わないのですか?


A18
そんなことはありません。バイオマスには原料として使う使い方もあり、建材や飼料、肥料などにも使われています。燃料として使う使い方をエネルギー利用、原料として使う使い方をマテリアル利用と言います。

Q19
利用可能量と賦存量はどう違うのですか?


A19
存在しているすべてのバイオマスが賦存量です。しかしながら、賦存量には山の奥深くの木や、非常に薄い原料、コケのように集めにくいものなど、普通のやりかたでは使えないものも多く含まれています。実際に使えると考えられるバイオマスの量を利用可能量と呼びます。

Q20
バイオマスはすべて二酸化炭素の排出を削減するのに役に立つのですか?


A20
バイオマスが二酸化炭素の排出削減に有効なのは、持続可能な形で使っている場合だけです。例えば、熱帯雨林を切り倒してそのバイオマスを燃やし、再植林しなければ、大気中の二酸化炭素は増えてしまいます。このほか、バイオマスを集めるのに使うガソリンや軽油、バイオマスを生産するために開墾した土地から発生するメタンなども考慮する必要があり、全体として二酸化炭素の排出が削減されていることを確認することは重要です。

Q21
バイオマスを使えば、エネルギー問題は解決するのですか?


A21
国内の利用可能なバイオマスエネルギーの量は、我々が使っているエネルギー量の5%程度しかありません。世界全体の利用可能なバイオマスエネルギーの量は、正確な統計はありませんが、世界のエネルギー利用の20%〜30%程度と言われています。しかも、世界の人口の増加と生活の向上によって世界のエネルギー利用量は増えています。太陽光、風力、地熱など、バイオマス以外の持続可能なエネルギーと組み合わせて使っていくことが重要です。

Q22
どんなバイオマスでも燃やせますか?


A22
水分が多いバイオマスは燃やすことができません。通常は、(水を含んだ)削除バイオマスの全体の重さの80%以上が水だと燃やすことができず、このようなバイオマスを含水系バイオマスと呼びます。含水系バイオマスは燃やすことができないので、メタン発酵などによって利用します。

Q23
バイオマス発電の効率はどの程度ですか?


A23
直接燃焼の発電効率は規模に大きく依存します。100万kW程度の大規模火力発電所では40%以上の効率が得られますが、1万kW程度では25%程度、100 kW程度では10%以下になってしまいます。このため、規模が小さくても効率よく発電できるガス化発電や燃料電池の利用なども研究されています。

Q24
バイオマスは熱利用と電気利用のどちらがよいのですか?


A24
全体の効率や経済性を考えてどちらが良いかを考える必要があります。直接燃焼発電の効率が通常20%程度であるのに対して、熱利用の場合には90%近い効率を得ることもできます。また、発電にはとてもコストがかかります。しかし、日本は比較的温暖なので熱利用の先は限られており、また、冬だけしか動かさない場合などには、熱利用でもコストが高くなることもあります。発電をして、そのときの廃熱でお湯を沸かすようなコージェネレーションも使われます。

Q25
草や木からエタノールが作れるって本当ですか?


A25
本当です。エタノールは、糖から作ります。草や木はセルロースという成分を持っていますが、セルロースに水を加えて分解すると糖が取れます。これを使ってエタノールを作ることができるのです。セルロースはとても分解しにくく、なかなか経済的なプロセスを作るのは難しいため、いろいろな研究が進められています。

Q26
エタノール発酵で使う微生物は酵母ですが、メタン発酵では何という微生物を使うのですか?


A26
実は、メタン発酵は単一の微生物ではなく、多くの微生物が協力し合って進めています。バイオマス原料を水を加えて分解し、小さな分子にする微生物や、得られた小さい分子を有機酸と水素にする微生物、さらに有機酸をメタンに分解する微生物などさまざまです。

Q27
エタノールを作るのに使う酵母と、パンを作るのに使う酵母は同じですか?


A27
微生物の種類としては同じです。酵母という微生物は、糖を分解して二酸化炭素とエタノールを作ります。エタノールを作る時には、二酸化炭素は要らないので空気中に捨ててしまいます。逆にパンを作るときには、生地の中の二酸化炭素が焼くときに膨らんで小さな穴を作って柔らかいパンが作られます。この時、エタノールは蒸発して空気中に捨てています。

■余剰熱利用■
Q28
化学反応熱は潜熱、顕熱にくらべ何故大きいのですか?


A28
潜熱は結晶構造が乱雑化する時の熱の移動現象を利用しており、物質の規則性、乱雑性に依存した物理変化です。これに対し、化学反応は化学結合を直接組み替える変化であり、物質の規則性がより大きく変わるので移動エネルギー量が相対的に大きくなります。

Q29
熱輸送事例はありますか?またその熱の使い道を教えてください


A29
甘味料の一種であるエリスリトールを潜熱蓄熱材に用いた熱輸送事例があります。融点が130℃で、この温度域の熱を貯蔵、輸送できます。この温度では一般家庭、病院、ホテルなどの温水、暖房供給に利用できます。吸収式ヒートポンプを利用すると冷房も可能になります。

Q30
エアコンによる暖房とストーブによる暖房の熱エネルギー的な違いは何でしょうか?


A30
ストーブでは燃料の持っている熱量分だけが利用されます。エアコンは成績係数(発生暖房熱÷所要電力)が5程度あり、1の電気エネルギーで大気中の4の熱を集め、合計5の温熱として利用できます。このようにエアコンはストーブに比べ熱エネルギー効率が高いといえます。

Q31
燃料改質とは何でしょうか?


A31
例えばメタン燃料は水と吸熱反応し水素を生成します。得られた水素の熱量は原料メタンが吸熱した分だけ増えます。このメタンから水素への燃料の返還を燃料改質と呼びます。石油、石炭などの炭化水素は同様に燃料改質できます。吸熱に余剰熱が利用できると、余剰熱の回収、有効利用に役立っていると言うことが出来ます。

Q32
余剰熱利用の課題は何ですか?


A32
余剰熱の利用は省エネルギーになると期待できます。しかし余剰熱の温度は環境温度に近く、エネルギー密度が”薄い”といえます。薄いエネルギーの回収には例えば熱交換器の伝熱面積を大きくする、流量を人為的に速めるなどの作業が必要となり、その分コストがかさみます。また、熱の移動は電気に比べ手間がかかり、需要地への移動にエネルギーを要します。よって適切な熱回収機構の設計、熱発生源と需要先との距離的、時間的な関係の適切化などが課題になります。

■分散型電源と革新技術■
Q33
新たな新エネルギーの定義を教えて下さい


A33

新エネルギーは「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」に定義されています。再生可能エネルギーとして次のものが位置づけられています。

  • 太陽光発電、太陽熱
  • 風力発電
  • バイオマス発電、バイオマス熱、バイオマス燃料
  • 中小水力発電(1000kW以下)
  • 地熱発電(大気圧での沸点が100℃未満の熱媒を利用するもの)
  • 未利用熱(海水、河川水等の水を熱源とするもの)
  • 雪氷熱

Q34
分散型電源にするとどのようなメリットがありますか?


A34
  • 分散型電源をいくつか配置すれば、一つの電源が事故等で止まってしまっても、残りの電源によって供給を継続できます。災害に強いシステムを作ることに役立ちます。
  • コージェネレーション型の分散形電源では排熱も利用することでエネルギー利用効率を高めることができます。
  • 小規模な分散型電源は短期間で設置することができ、供給力を増やすニーズに速やかに対応できます。

Q35
エネルギー効率が飛躍的に向上した技術はどのようなものがありますか?


A35
  • 天然ガスコンバインド発電は、天然ガスを燃料とするガスタービンで発電し、さらにその排熱を蒸気タービン発電のボイラの熱源に利用します。二段階に発電することによって高い発電効率を実現する技術です。
  • 日本にある最新鋭の発電所は低位発熱量基準で59%の発電端効率を持っています。(火力発電の発電端効率は45%程度)

Q36
水素を作って発電する場合、エネルギー収支はとれるのでしょうか?


A36
  • 化石燃料から水素を作る場合、反応プロセスに何らかの熱損失が伴うので、反応を多段階に行うとエネルギー効率は低下すると考えられます。
  • 他方、再生可能電力を用いて電気分解で水素を製造すれば、ライフサイクルで見てCO2を発生しない燃料となるため、優位性があります。

Q37
水素社会の問題点とはどのようなものですか?


A37
  • 水素は二次エネルギーであり、何らかの燃料から製造されます。水素の燃焼時に二酸化炭素は発生しませんが、水素の製造過程で二酸化炭素を生じる場合がある点に注意が必要です。
  • 水素は爆発性を持つガスであるため、取扱いに注意が必要です。
  • 水素は金属を脆くする性質があります。それに対応した配管を整備することが求められます。

Q38
将来の自動車燃料はどのようなものがありますか?


A38
  • 現在でもガソリンや軽油以外にLPガスや圧縮天然ガスを利用した自動車が使われています。
  • 今後はプラグインハイブリッド自動車や電気自動車など電力によって走行する自動車が増えると期待されています。
  • バイオエタノールやバイオディーゼルなどバイオマスから製造する自動車燃料も使われ始めています。生物起源の燃料は二酸化炭素を増やさないことに役立ちます。