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民間企業インタビュー

研究開発型大学発ベンチャー企業(以下、研究開発型ベンチャー)が、民間における研究開発の担い手となり、そのシーズを大企業が大きな事業に発展させていくモデルが注目されています。一方で、研究開発型ベンチャーにおける研究人材のキャリアについては、あまり広く知られておらず、人材採用において経営課題を持つ企業も少なくありません。
本コンテンツでは研究開発型ベンチャーの魅力や課題、個別企業の持つ研究人材への期待をインタビュー記事形式でご紹介いたします。

求人機関と求職者双方が
知りたい情報を
キャッチできる仕組みを

— 新村さんはバイオベンチャーなど研究開発型ベンチャーに関する調査研究を行っていらっしゃいますが、研究人材のキャリアという観点で研究開発型ベンチャーの魅力はどのような点でしょうか?
新村:近年、大企業における研究開発文化が変化しており、いわゆる「中央研究所」を設けずに、オープン・イノベーションを採用する企業が増えています。必然的に、ベンチャー企業の持つシーズに対する重要性は上がっています。研究開発型ベンチャーがプレイヤーとなり、民間における研究開発の一端を担うことで新しい技術を生み出し、大企業がそのシーズを大きな事業に発展させていくというモデルが、これまで大企業偏重型だった日本社会のなかでも強くなってきているわけです。研究開発型ベンチャーの方が、チャレンジングな新しい技術やビジネスモデルに挑戦して、それを花開かせる可能性が高い。そこに魅力を感じる人材は少なくないのではないでしょうか。

文部科学省
科学技術・学術政策研究所第2調査・研究グループ

上席研究官新村 和久

— 求人・求職活動の現場では、研究人材自身が持つ求職ニーズが満たされることはもちろん、研究人材を採用しようとする求人機関のニーズが満たされることがマッチングの成立には必要不可欠です。研究開発型ベンチャーの課題を知っておくことは求職者にとっても有益なのではないかと思いますが、どのような課題を持っているのでしょうか。
新村:2000年~2017年に起業した研究開発型ベンチャーの経営者を対象にしたアンケートで「ヒト」「モノ」「カネ」それぞれについての課題解決法を聞いたところ、人材(「ヒト」)については、起業当初は採用コストをあまりかけられないことや、その企業が取り組む研究領域に関する知識や経験を期待している状況があるようで、母体となっている研究室など身近なネットワークから採用することが多いようです。一方で事業化フェーズに入ると、基礎研究だけではなく、それを応用できる人材採用を重視する傾向があるようです。さらに財務人材や経営人材の確保をネックとして抱えている企業が増える傾向にあります。

— そうした企業側の事情を知っていれば、求職者は自分の適性や能力・経験を鑑みながら企業のニーズに合わせたアピールができるかもしれません。企業側、つまり求人機関の求める人物像に合わせて自分の能力や経験をアピールできれば、マッチングの可能性も高まるはずですよね。
新村:求人機関としても、間口を広げて募集することで、期待以上の能力を持つ人材が応募してくるかもしれません。また、英語による就業や出産育児などのライフイベントに応じた柔軟な勤務形態、といった特色を打ち出すことで優秀な人材を獲得できる可能性も高くなるかもしれません。

— 思うように人材を確保できない求人機関は、自分たちが気づいていない自社の魅力がないか、見直してみてもよいかもしれませんね。求人機関と求職者のミスマッチを減らすために、どのような仕組みが必要でしょうか?
新村:博士人材をはじめとする研究人材の能力と、求人機関が置かれている事業フェーズや特色をうまくマッチングできる仕組みがあると良いのではないでしょうか。そのために必要なのは、やはり適切な情報発信です。例えば求人情報とは別に、研究者による起業事例や創業当初のリファラル採用の事例など一般には流通しにくい情報をJREC-IN Portalに掲載すると良いかもしれません。また、求職者と求人機関の架け橋となるコーディネータの配置などにも期待しています。

— ありがとうございました!

Interviewer

株式会社エマージングテクノロジーズ
代表取締役

深澤 知憲

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