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Case.14

裁量労働制なのに出勤管理?

コマ1 コマ2 コマ3 コマ4

※ これは事実を元に構成したフィクションです。

Trouble Shooting

マンガ解説

裁量労働制とは
JREC-IN Portalで研究職の公募をしている機関では、裁量労働制を取り入れているところが少なくありません(研究職の場合、正確には専門業務型裁量労働制といいます)。専門業務型裁量労働制とは、業務遂行の方法、時間配分等を労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適応される制度で、実際の勤務時間にかかわらず、労使であらかじめ決められた時間を働いたとみなし、給与を支払うものです。たとえば1日のみなし勤務時間が7時間45分と決められている場合、実際の勤務時間が3時間でも10時間でも7時間45分勤務したとみなされます。

この制度を適応する機関に対しては、主に下記の事項が求められます。

・対象となる業務遂行の方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと

・労働時間としてみなす時間を決めること

・対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置

・対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置


裁量労働制における出勤管理
上記で、「時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと」とあるように、この裁量労働制の下では、出退勤は労働者の裁量にゆだねられます。基本的には、何時に出勤して何時に退出しようと労働者の自由です。しかし、このマンガのケースでそれは当てはまりません。

高橋さんは夜10時を過ぎても勤務を続けていました。この場合は、管理者から深夜勤務の許可を得る必要があります。なぜなら、裁量労働制でも深夜(22時から翌日の5時まで)勤務や振替休日をとらない休日出勤には、労働者に割増賃金を支払う必要があるからです。

また、高橋さんは出勤の記録を求められていますが、これも裁量労働制に違反しているわけではありません。出退勤は労働者の裁量にゆだねられますが、裁量労働制を運用する機関には「労働者の健康・福祉を確保するための措置」をとる義務があるため、労働時間の状況を把握する必要があるのです。

求職者の皆様へ
裁量労働制の運用方法は、大学・機関によって異なります。出勤簿を付ける必要のないところや一定の始業・終業時刻を定めているところ、休日出勤した場合に必ず代休をとらせているところなど、さまざまです。このマンガのように「前の勤務先が裁量労働制だったからここも同じ勤務体制だ」と思い込まず、最初に裁量労働制の条件について確認するようにしてください。
Comment

専門家コメント

労働基準法では、高度な専門知識を要する業務(専門業務型裁量労働制)に従事する労働者に、裁量労働制を適用することができます。
裁量労働制とは、業務遂行の手段や方法が労働者の裁量にゆだねられ、時間配分等を労働者自身で決定できる制度です。つまり、実際に行った時間ではなく、あらかじめ労使間で決めた時間を1日の労働時間とみなすことができます。
この制度を実施するには、労使協定に、対象業務(法令対象業務19業種。新技術研究開発、情報処理システム分析設計、教授研究の業務等の高度な専門業務)、1日のみなし労働時間、労働者の健康・福祉を確保する措置、労働者からの苦情処理に関する措置等を記載する必要があります。
使用者は、みなし労働時間の対象者に対しても一般の労働者と同様に、深夜就労や休日出勤時に割増賃金を支払わなければなりません。また、休憩時間や休日、年次有給休暇の取得についても認めなければなりません。

特定社会保険労務士 松林 慎二

Terms

用語解説

専門業務型裁量労働制
業務の性質上、業務遂行の方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるとして法令により定められた19業務が対象で、労働者を実際にその業務につかせた場合、労使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度です。
(厚生労働省ウェブサイト「専門業務型裁量労働制」 :
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/
企画業務型裁量労働制
事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて企画、立案、調査および分析を行う労働者が対象で、あらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度です。この制度の導入には労使委員会で5分の4の賛成と本人の同意が必要となります。
(厚生労働省ウェブサイト「企画業務型裁量労働制」 :
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/kikaku/
労働基準法
労働条件の原則や決定について、労働条件の最低基準を定めた法律で、(公務員等に一部の適用除外があるものの)原則としてすべての労働者に適用される法律です。
(e-Govウェブサイト「労働基準法」 :
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html

※これは掲載時点での情報です。雇用制度は法律改正に伴い、変更される場合があります。最新の情報を常に確認するようにしてください。


2017年3月 制作