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なぜ、こんなことに マンガで学ぶ求人・求職事例

Case.8

年齢・性別で応募を制限していいの!?

コマ1 コマ2 コマ3 コマ4

※ これは事実を元に構成したフィクションです。

Trouble Shooting

マンガ解説

性別・年齢・国籍等での応募制限は原則NG・・・だが
求人公募情報には、男女雇用機会均等法、雇用対策法等により「年齢」「性別」「国籍」「出身地・居住地」等を応募資格に記載することはできません。これは、求職者の人権・権利を守るためであり、求人の募集をかける際には、制限を設けないで求職者に均等に応募機会を与える必要があります。その点でみると、このマンガの宮田さんが年齢・性別の制限に不審を抱くのも無理はありません。しかし、求人機関の環境・状況によっては、このマンガのように応募の制限が問題とならない例外があるのです。

例外的に年齢で応募制限できる場合
年齢制限は、雇用対策法により禁止されていますが、その施行規則には例外事由がいくつか定められています。その中で特に知っておいてもらいたいのが次の例外事由です。「60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合」。これは、国の施策として特定の年齢層(このマンガの場合は、35歳未満)を雇用する場合は、例外として扱われるということですが、JREC-IN Portalの求人公募情報では、この例外事由を適用して年齢制限をしているケースがよくあります。

例外的に性別で応募制限できる場合-ポジティブ・アクション-
性別に関しても、男女異なる取り扱いをすることに合理的な理由があるものは男女雇用機会均等法の例外として認められており、女優や警備員、巫女などの職種がそれにあたります。ただ、JREC-IN Portalの求人公募で取り扱っている職種では、そのようなケースはほぼありません。

JREC-IN Portalで性別制限しているケースは、主に「ポジティブ・アクション(女性の活躍推進)」に該当する場合です。募集職種において女性の割合が4割を下回っている場合に、ポジティブ・アクションを適用でき、例外的に女性に有利な取り扱いをすることがあります。たとえば、現在6名の助教職が全員男性の場合、4名までは優先的に女性を採用することができるのです。

求職者へのお願い
このような例外的に応募制限を設けている公募情報には、必ずその理由も記載されていますので、ご理解くださいますようお願いします。
Comment

専門家コメント

労働者の募集および採用に際して事業主は、年齢・性別にかかわりなく均等な機会を与えることが義務付けられています(雇用対策法第10条・男女雇用機会均等法第5条)が、マンガのように例外的に制限が認められる場合もあります。
年齢の制限では、マンガ解説の事由のほかにも、大学や企業内での技術やノウハウの継承の観点等、労働者が長期勤続によりキャリア形成を図ることを前提としている場合は、例外事由として認められます。ただ、「〇〇歳未満」は目安であって、多少の違いはOKの場合もあります。応募する前に問い合わせてみることをお勧めします。
性別の制限についてですが、ポジティブ・アクションのように、職場における男女の役割分担意識や過去の経緯から男女格差の実態を把握し、このような差を解消しようと個々の企業が取り組みを行うことは、法に違反しません(男女雇用機会均等法第8条)。スキルが同等であれば女性を優先的に採用するという意味だけの場合もありますので、男性も応募していいのか、事前に問い合わせてみてください。

2級キャリアコンサルティング技能士 種市 智香子

Terms

用語解説

雇用対策法
労働者の職業の安定と地位向上、完全雇用の達成を意図とした法律です。平成19年の改正により、求人に際して年齢にかかわりなく均等な機会を与えることが必要となりました。
(e-Govウェブサイト「雇用対策法」 :
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=341AC0000000132
雇用対策法施行規則
雇用対策法の施行規則です。この施行規則の第一条の三に「年齢にかかわりない均等な機会の確保」の例外事由が定められています。
(e-Govウェブサイト「雇用対策法施行規則」 : https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=341M50002000023
ポジティブ・アクション
厚生労働省が雇用均等の目的で取り組んでいる施策で、固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から男女の労働者間に格差が生じている場合に、その差を解消しようと個々の機関が行う自主的かつ積極的な取り組みをいいます。
(厚生労働省女性の活躍推進協議会「ポジティブ・アクションとは?」 : https://www.mhlw.go.jp/positive-action.sengen/about.html
男女雇用機会均等法
雇用の分野における男女の差別を禁止し、採用条件、雇用形態、待遇などの面で男女とも平等に扱うことを定めた法律です。
(e-Govウェブサイト「男女雇用機会均等法」 :
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=347AC0000000113

※これは掲載時点での情報です。雇用制度は法律改正に伴い、変更される場合があります。最新の情報を常に確認するようにしてください。


2017年3月 制作